2007年10月26日 更新

日本勢初アジア王者へJ1タッグ!浦和&川崎が『コーチ交流』

前日の試合で活躍したワシントンが、笑顔で練習。川崎とのタッグで、決勝も勝つ(撮影・江角和宏)

前日の試合で活躍したワシントンが、笑顔で練習。川崎とのタッグで、決勝も勝つ(撮影・江角和宏)

 J1タッグで快挙達成だ。アジアCLで日本のクラブとして初めて決勝進出を果たしたJ1浦和の対戦相手が25日、セパハン(イラン)に決まった。セパハンは川崎が準々決勝で惜敗した相手で、川崎はこの日のJリーグ強化担当者会議で浦和に情報提供のためのコーチ交流など全面協力を約束。浦和&川崎が日本サッカー界の威信をかけて強力タッグを結成し、アジアの頂点を目指す。

 浦和の相手は、アルワハダ(UAE)を2戦合計3−1で下したセパハンに決定した。浦和の選手たちは決勝進出から一夜明けたこの日、チームの大原グラウンドで汗を流したが、FW田中達は「映像を見たけど、守備がしっかりしている。(イランへの)移動もあるし、しっかり調整したい」。対戦相手が決まり、表情が引き締まる。

 敵地での第1戦は11月7日で、既に2週間を切っている。未知の戦力に加え、長距離移動、5.5時間の時差…など浦和にとって不安要素も多い。だが、心強い助っ人が現れた。準々決勝でセパハンに惜敗した川崎が、異例の全面バックアップを約束した。

 この日、都内で行われた強化担当者会議に出席した川崎・福家三男強化本部長が、浦和・山道守彦強化部長と会談。福家氏は「浦和の優勝はJリーグ全体のステータス。私たちの悔しさも晴らしてほしいからね」と全面支援を明言した。

 その一つが『コーチ交流』。浦和には川崎から試合のビデオ映像、敵地の環境などの資料が渡されているが、「映像だけではわからないこともあると思う」と福家氏。Jリーグ期間中でありながら、浦和側が川崎の高畠コーチらに直接疑問をぶつけることにも理解を示し、可能な限り情報提供することを約束した。浦和−セパハン戦直後の11日には川崎−浦和戦があるが、日本サッカー界の悲願達成へ向けて異例の協力体制が実現する。

 浦和は現地にスタッフを派遣するなど独自調査も進めているが、川崎の選手は「あの厳しさは実際に経験しないとわからない」。過酷アウエー環境克服へ“生きた情報”は大きなアドバンテージ。山道氏は「フロンターレさんには感謝している」と感謝感激だ。

 「まだ優勝したわけじゃない。あと2試合、全力でやりたい」とMF長谷部。アジア制覇まで、あと一歩。強力タッグが浦和を頂点に導く。

■川崎Vsセパハン準々決勝VTR

 川崎は9月19日のアウエーでの第1戦に向けて、前もって偵察部隊を派遣し、現地の練習環境、食事面、ホテルなどを確認。その効果もあり、標高1600メートルの空気の薄さ、20時間以上の長距離移動など過酷状況の中、0−0ドローでしのいだ。だが、同26日のホームでの第2戦では、チャンスを多く作りながら得点を決められず、延長戦でも0−0。PK戦(4−5)で惜敗し、無敗のまま大会を去った。

★ファンも応援

 浦和の公式ホームページで、定員250人のセパハン戦のオフィシャルツアーを募集したところ、即日完売した。0泊3日の弾丸ツアーで、旅行代金は15万8000円と決して安くはないが、浦和の優勝を後押しするためサポーターが殺到した。旅行代理店の担当者は「すでに完売しました。チャーター便のため、キャンセル待ちは受け付けていません」と説明した。一方、14日の第2戦(ホーム)のチケットは、11月3日から発売されることが決まった。

◆日本サッカー協会・川淵三郎キャプテン

「浦和は疲れていたが、本当によく勝った。アジアのプロリーグ改革にも大きな力を与えてくれる。また、あれだけのサポーターはアジアにはいない。超一流。世界に出しても恥ずかしくない」

★闘莉王、セパハンへ望み

 24日の試合中に左太ももを痛めた浦和DF田中マルクス闘莉王(26)が25日の精密検査で軽い肉離れと診断された。28日の名古屋戦(埼玉ス)は欠場する見通しだが、11月7日のセパハンとの第1戦は「望みはある。しっかり治療したい」と前向きな感触を示した。

 負傷時には「サッカーをできる状態じゃなかった」と途中交代を直訴しピッチに倒れ込んだが、この日、クラブハウスに現れた闘莉王は「だいぶ歩けるようになった」と軽症を強調した。

■アジアCL(チャンピオンズリーグ)

 アジアのクラブ王者を決めるため、アジア・クラブ選手権、アジア・カップウイナーズ杯を統合して創設された大会。各国のリーグ、カップ王者が出場し、1次リーグ、決勝トーナメントともホーム&アウエーで対戦。決勝トーナメントの勝敗の決定方法は(1)2試合の得失点差(2)2試合におけるアウエーゴール数(3)第2戦終了時に前後半各15分の延長戦(4)PK戦−の順となる。優勝チームがアジア代表として12月のクラブW杯に出場する。昨季優勝は全北現代(韓国)

■クラブW杯への道

 アジアからは、アジアCL優勝チームと開催国(日本)代表の2チームが出場できる。浦和が勝った場合は、浦和が開催国チームのため、アジアCL2位のセパハンも出場権を得る。浦和が負けた場合は、優勝のセパハンと、今季Jリーグ優勝チームに開催国枠の出場権が与えられる。