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<浜岡原発判決>傍聴席に怒声 「司法の良心どこへ」 

10月26日12時15分配信 毎日新聞


 耐震安全性は確保されている−−。「原子力の日」にあたる26日、静岡地裁であった中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)を巡る運転差し止め訴訟の判決は原発の安全性を認め、ことごとく原告の訴えを退けた。「司法の良心はどこにあるのか」。新潟県中越沖地震で原発の耐震性や安全性がクローズアップされる中での敗訴に、原告住民らはあきれ、怒りに身を震わせた。【望月和美、浜中慎哉】

 「原告の請求をいずれも棄却する」。静岡地裁の6号法廷。午前11時、宮岡章裁判長が主文を読み上げると、原告住民や支援者らで埋まった約50席の傍聴席はどよめいた。宮岡裁判長が主文だけを告げて退廷すると、法廷は「不当判決だ」「人間ですか裁判長は」「地震が起きたら責任を取るのか」との怒号で包まれた。

 黙って裁判長を見つめていた原告団共同代表の長野栄一さん(86)=静岡県牧之原市=は閉廷後、「怒りで体が震える。国民の生命、財産を預かる裁判所がこのような判決を出し残念。最低でも1、2号機停止の一部勝訴だと思っていた。全く無責任な判決で頭が真っ白になった」と語った。

 判決前、原告団や支援者は午前10時ごろから、地裁前に集まった。原告団共同代表の白鳥良香さん(75)は「きょうは歴史的な判決になるだろう。原発震災の不安から解放される第一歩になる」と呼び掛けていた。原告団は午前10時40分ごろ、「止めよう!浜岡原発震災」などと書かれた横断幕を掲げながら地裁に入った。

 法廷に入れなかった原告や支援者ら約100人は、地裁前の歩道で判決を待った。地裁から走り出た原告団関係者が「不当判決」の垂れ幕を広げると厳しい表情になり、失望と落胆の声が上がった。

 判決を傍聴席で聞いた社民党の福島瑞穂党首は「怒りとショックでいっぱいだ。静岡だけでなく、全国の原発を抱える地域の人たちの命を大事にしていない。裁判所は敗訴させた理由を、しっかり説明すべきだった」と話した。

 ◆識者の見方◆ 

 26日に静岡地裁で言い渡された浜岡原発の運転差し止め訴訟判決について専門家に話を聞いた。

 ◇国策に配慮、不当 

 東海地震説を提唱した石橋克彦・神戸大教授(地震学)の話 必ず起こる巨大地震の断層面の真上で原発を運転していること自体、根本的に異常で危険なのに、原発推進の国策に配慮した判決で全く不当だ。柏崎刈羽原発の被災以来、地震国日本の原発のあり方に注目している世界に対し、恥ずかしい。10年前に警告した「浜岡原発震災」を防ぐためには、4基とも止めるしかない。判決の間違いは自然が証明するだろうが、そのときは私たちが大変な目に遭っている恐れが強い。

 ◇耐震設計余裕ある 

 宮崎慶次・大阪大名誉教授(原子力工学)の話 妥当な判決だ。一般の建物は建築基準法で単純に横に引っ張る加速度200ガルに耐える設計基準だが、大地震にも耐えている。原発は潜在的危険性から重要部分はその3倍に耐える基準だ。さらに浜岡原発では、地震の揺れを想定したより影響の大きい加速度で1000ガルまで耐力を高め、余裕度向上を図っており、安全余裕は高い。今後は、安全性を最優先しながらも稼働率を上げることが必要だ。

最終更新:10月26日12時57分

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