2006年06月10日
この病気にこの名医Part2
【第149回】必要に応じ内視鏡で視診/大和徳洲会病院望月高行部長
慢性副鼻腔炎(下)
慢性副鼻腔(びくう)炎、いわゆる蓄膿(ちくのう)症は、カゼウイルスが誘因となり細菌が感染して副鼻腔に炎症を引き起こし、繰り返しているうちに慢性化するのが一般的である。
ところが「ここに最近変化が起きている」と、大和徳洲会病院(神奈川県大和市)耳鼻咽喉科の望月高行部長(横浜市立大学医学部非常勤講師)は指摘する。その変化とは-。「治りにくい難治性副鼻腔炎です。好酸球性副鼻腔炎で、成人発症型ぜんそくやアスピリンぜんそくの大多数がこの中に入ります。このほかのアレルギーを合併している慢性副鼻腔炎も多くなっています」。
結果、栄養状態の良さや抗生物質の進歩で減少の一途をたどると思われていた慢性副鼻腔炎が、逆に多少ではあっても患者が増加傾向にある。
その慢性副鼻腔炎の診察は以下のように行われる。
◆問診 問診では、どのような理由で受診したかを聞く。慢性副鼻腔炎で多い症状は「鼻水」「鼻詰まり」「頭痛」。さらにアレルギーを合併していると「くしゃみ」を伴ったりする。「アレルギーはあるか、アスピリンぜんそくはあるかなども聞きます。アスピリンぜんそくのある人は、鼻茸(はなたけ)ができやすい傾向があり、においが分からなくなってしまいます。もちろん、いつからその症状が出てきたかということは第1に聞きます」。
◆視診 「慢性副鼻腔炎の診察で最もよいのは、視診で、必要に応じ内視鏡を用いたりします」。鼻腔は鼻甲介が上、中、下と3層になっており、特に中鼻甲介や下鼻甲介の粘膜の腫れや鼻茸の状態を確認するとある程度分かる。「下鼻甲介の粘膜は急性では青っぽく、慢性では赤くなっています」。そのほか、のどに鼻水が流れているかなどを調べる。
◆単純エックス線検査、CT検査 「副鼻腔は空洞なので通常肺と同じように黒く見えるはずなのに、単純エックス線を撮って白くなっていると異常があるので、CT検査を加えます」。
◆アレルギー検査・その他の検査 鼻汁の好酸球の有無を顕微鏡で見て判定。
このほか「血液検査」ではアレルギーの原因物質が分かる。必要に応じ「細菌検査」などを加えるとともに、上顎(がく)がんが疑われる場合には、「上顎洞試験開洞術」も行い組織検査も行う。
【医学ジャーナリスト松井宏夫】
◆慢性副鼻腔炎(内視鏡下副鼻腔手術)の名医
▼神奈川歯科大学付属病院横浜クリニック(横浜市神奈川区)耳鼻咽喉科・八尾和雄教授
▼耳鼻咽喉科・気管食道科 協愛医院(静岡県富士宮市)佐野真一院長
▼鼻・副鼻腔サージセンター名古屋(名古屋市中村区)黄川田徹院長
▼京都大学医学部付属病院(京都市左京区)耳鼻咽喉科・中川隆之助手
▼関西医科大学付属男山病院(京都府八幡市)耳鼻咽喉科・久保伸夫助教授
June 10, 2006 11:22 AM
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