2007年10月26日 11時28分更新
妊娠中の女性を救急車で運ぶ際、医療機関から3回以上、受け入れを断られたケースが去年1年間に全国で約670件にのぼり、医師不足などが原因で受け入れ態勢が整っていないことが、総務省消防庁などが行った初めての実態調査でわかりました。
この調査は、ことし8月、奈良県で救急車を呼んだ女性が医療機関に相次いで受け入れを断られて死産した問題を受け、総務省消防庁と厚生労働省が初めて行いました。それによりますと、妊娠中の女性を救急車で運ぶ際、医療機関から3回以上、受け入れを断られたケースが去年1年間に全国で667件に上り、このうち5回以上が220件、10回以上も45件ありました。
3回以上断られたケースを都道府県別に見ますと、東京都が185件、神奈川県が154件、大阪府が76件、千葉県が36件、兵庫県が31件と東京・大阪とその周辺の大都市部で多くなっています。また、救急隊が到着してから受け入れ先が見つかるまでに、30分以上かかったケースは1012件、1時間以上かかったケースも105件ありました。
受け入れを断った理由では、医師や医療設備の不足で「処置困難」が27%と最も多く、「手術や患者の対応中」が17%、「ベッドが満床」が11%などと、医師不足などが原因で受け入れ態勢が整っていないことが明らかになりました。
一方で、10回以上、受け入れを断られたケースでは、妊娠後も産婦人科を受診していない人が目立ち、かかりつけ医のいない妊婦を医療機関側が避ける傾向を示しています。
総務省と厚生労働省は、今回の調査結果をもとに、受け入れ態勢の整備や効果的な救急搬送の方法について検討を急ぐことにしています。