上伊那医師会(神山公秀会長)は25日、夜間の1次救急対応策の検討結果をまとめ、上伊那広域連合に答申した。広域連合側が北部、中部、南部の3カ所への開設を要請していた夜間診療所(夜間1次救急センター)は「もうしばらく開設は見送る」とし、引き続き検討する。7月から始めた医師会員(開業医)による伊那中央病院(伊那市)救急救命センターでの夜間の1次救急診療への協力は続行していく、などとした。
伊那市のいなっせで開かれた広域連合の上伊那医療問題研究会で医師会事務局が説明した。
答申書によると、夜間1次救急医療は「長期的展望が必要」とした上で、現時点では医師確保に限りがあり、数カ所の独立した夜間診療所への医師供給は困難とし、暫定の対応策を示した。
救急部医師の負担軽減を目的に、約30人が協力、実施している中病での夜間1次救急診療は「続行する」との表現で、当初年内とした協力期限が切れる年明けも継続することを示唆。南部(伊南)、北部(辰野)ブロックでも、「地域の病院と連携し同様の方法を模索し、可能な限り実行する」とした一方、具体的方法は「地元の行政と地元医師会に任せる」とした。
研究会で医師会の井上清人事務長は、医師会内部に1次救急対策検討委員会を立ち上げ「可能な体制を構築したいので時間をいただきたい」と説明。駒ケ根市の担当者は「(伊那中病と)同様の方法を模索するのは大変ありがたい。地元医師会と4市町村担当者がこれから話し合いをしていく」とした。
答申内容について、神山会長は取材に対し「(夜間診療所開設について現時点で)結論を出すのは時期尚早」と述べ、中病で続行する夜間1次救急は「患者の動向や医師の出動態勢など1年くらいやってみないと総括できない」との考えを示した。
夜間1次救急の在り方について、医師会内部に設ける委員会で「上伊那全体の問題として、より具体的に、抜本的に考えていきたい」とした。
医師会の答申に対し、広域連合の唐沢茂事務局長は「医師会の議論を見守っていきたい」とした。