ペルセウス座の方向にあるホームズ彗星(すいせい)が25日までのわずか2日間で約40万倍も明るくなり、肉眼でも観測できるようになった。アウトバーストと呼ばれる現象で、彗星の核からチリやガスが一時的に吹きだし、太陽光を反射して明るく輝くらしい。今回のような大幅な増光の観測例はなく、各国の天文台などが追跡を続けている。
ホームズ彗星は太陽の周りを約7年周期で回っており、今年5月に太陽に最接近した後、少しずつ遠ざかっていた。現在の太陽からの距離は約2.4天文単位(1天文単位は約1億5000万キロ)、地球からは約1.6天文単位離れている。
23日の明るさは約17等だったが、その後急速に明るさを増し、日本時間の25日明け方には約2.9等と、約40万倍の明るさになった。放出された物質がそれほど広がっていないため、尾のような構造は見えず、恒星のように見える。
アウトバーストを起こして肉眼でも観測可能になった彗星は、73年のタットル・ジャコビニ・クレサーク彗星以来。この時は約1万倍の増光だった。ホームズ彗星も発見時の1892年に約6万倍の増光が観測されたが、翌週には急速に減光したという。
渡部潤一・国立天文台准教授は「研究者としてこれほどの増光に立ち会える機会は一生に一度あるかないか。とても興奮している。観測を通して、現象の解明も進むかもしれない」と話している。【須田桃子】
毎日新聞 2007年10月25日 19時48分 (最終更新時間 10月25日 21時27分)
10月25日 | ホームズ彗星:大増光…2日間で40万倍の明るさに |