 |
新築途中の楳図さん宅
|
 |
「まことちゃん」「漂流教室」などの作品で知られる漫画家の楳図(うめず)かずお氏(71)が、東京都武蔵野市内に建築中の自宅をめぐり、外観が住宅地の景観を破壊するなどとして、周辺住民が24日までに、工事差し止めを求め、東京地裁に提訴した。工事差し止めを求める仮処分を同地裁に申し立てたが、棄却。その際の「楳図さんの“勝利宣言”にカチンときた」として提訴に踏み切ったとしている。
閑静な住宅街に、赤白のしま模様などの外観が景観を破壊するなどとして係争することになった「まことちゃんハウス」建築問題。東京地裁内でで会見した住民側代理人の長谷川健弁護士は提訴理由について「住民は楳図さんの“勝利宣言”にカチンときた」と説明した。
楳図氏の自宅をめぐっては東京地裁が12日、この住人2人が申し立てた建築差し止めの仮処分を「地域にある建物の色はさまざま。住人に塗装を禁止する権利はない」として却下。この際、楳図氏は一部マスコミで「きょうはボーダー記念日なのら〜」と喜びを表現。さらに「法的に理解を得たことは、全国の同じ立場の方に勇気を与えてくださいました」などとコメントしていた。
この勝利宣言に、一度は「高齢のため正式な裁判はしない」としていた住民側も「カチン」。一転、楳図氏と施行業者の住友林業(東京・千代田区)を相手に「騒音被害ならぬ“騒色被害”を受ける危機」とし、16日付で訴訟に踏み切った。
長谷川弁護士は「住民同士のトラブルなので、話し合いをしたいというのがスタートだった。勝った、負けたではない」と説明。その一方で「あんなコメントを出さなければ、今回の騒動は終わっていたはずのに…」と楳図氏の行動に首をかしげる。
楳図氏宅は12月末までに完成予定。現在は内装工事が進められ、外装は赤白のしま模様を残すのみ。裁判の途中で外装工事を進めるのは可能だ。
ただ、判決次第では塗り直しなどを求められるほか、完成後に周辺住人らに健康被害などが出た場合は「新たに損害賠償を求めることもありうる」(長谷川弁護士)としている。
|