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幻の犠牲フライ 〜日本−米国戦リポート

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王監督とマルティネス・アメリカ監督

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王監督とアメリカ・チームのデレク・リー。「おいおい、あんまり打たないでくれよな」と王監督。リー、アメリカを救う同点2ランを打つ。元ロッテ、横浜にいたレオン・リーの長男。横浜育ちだ。

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試合前のセレモニー。「君が代」を聞く日本チーム

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イチローの後ろから見るとこんな感じ

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試合後記者会見の王監督とイチロー

 試合後の記者会見に現れた王監督、イチロー選手、まだ顔がこわばったままでした。

 王監督「勝つチャンスがあった試合で勝利をつかみとれなかったというのは本当に惜しい試合だった」。

 イチロー「日本の選手があこがれつづけてきたアメリカのメジャーリーガーを相手にして勝つことのできる可能性のある試合だっただけに、ただただ残念です」

 ほかの質問をしづらいくらい、ふたりとも落胆が顔に出ていました。

 アメリカの記者から、問題になった日本の8回表の犠牲フライの判定のときの王監督の主審の判定への抗議について、質問が出ました。

 どういう判定だったのか、まず解説しておきますと――。

 8回表1死満塁で、打者6番岩村が打ち上げた浅めのレフトフライで、三塁ランナー西岡がタッチアップしてホームを踏みます。犠牲フライで日本に4点目が入ったと見えたシーンですが。

 ここで、アメリカ側が「西岡の離塁が、レフトがボールをキャッチするよりも早かったのではないか」と、ボールを三塁に回して、ベースタッチのアピールプレー。

 これに対して、捕球時に三塁ベースのそばにいた二塁塁審ナイトは、「セーフ」の判定。

 アメリカのマルティネス監督は、主審のデービッドソンに抗議。主審、アメリカの抗議を受けて、「アウト」と判定を変更します。

 なぜ二塁塁審が三塁ベースにいたかというと、三塁塁審のポウルトンが外野飛球の捕球を確認するために外野寄りに走ったため、二塁塁審が捕球とランナーのスタートの確認役で三塁ベースのそばまで行って確認したという状況があったようです。

 実際、どうだったのか? これは、ビデオで確認してもらわないと、記者席ではわからない。記者席に設置してあるESPNの中継モニターでは、問題のプレーのビデオ映像は流さないままなので、確認のしようがないですね。

 ぼくがいたライト側の記者席からは、浅いフライだったので、「西岡、スタートを早まるな」という気持ちで見ていましたが、西岡君、一度、取っていたリードからベースに戻り、ベースを踏む反動を利用してスタートしましたので、捕球よりも早いタイミングだったという感じはしていません。あれを離塁が早かったと言われてはという気がしている。

 ただ、8回表の言ってみれば決勝点になるかもしれない1点ですから、アメリカ側がアピールプレーをするかもしれないとは頭に浮かびましたから、西岡君の際どいタイミングのタッチアップだったのはそのとおりです。

 この判定の問題点について、王監督は記者会見で、こう語っています。

 「セカンドの塁審のジャッジに対して、主審が異を唱えて判定を覆した。4人の審判にはそれぞれジャッジについての同等の権限があるはずで、野球発祥の地アメリカで、問題のプレーのいちばん近いところにいた審判の判定が覆されるという越権判定が行われるというようなことを信じたくないし、とても残念なことだと思う」

 問題点を整理すると――、

 アピールプレーが行われた直後に、デービッドソン主審はジャッジをしていない。

 判定するべき位置にいなかったか(捕球者と三塁ベースを結んだ延長線上に立って捕球と離塁のタイミングを確認するというのがこの場合の審判の仕事ですが)、捕球とスタートのどちらが早かったかをみていなかったから、判断を出せなかったと取られても仕方ない。一方のナイト二塁塁審はプレーを確認していたので、即座に「セーフ」と判定を出した。

 マルティネス監督は、あえて、判定を出さなかったデービッドソン主審に対して、あのプレーのジャッジは二塁塁審ではなく、主審が判定すべきなのではないかと抗議をして、それが通ってしまってデービッドソン主審があらためて「アウト」のコールをした。

 つまり、一度、ジャッジを放棄した主審が、最初にジャッジを出した塁審の判定を覆したということで、記者席から見ていて、いったいなにがあったのかわからない奇妙な判定だった。草野球じゃないんだから。

 観客席もアピールプレーが行われるまで、「ああ、日本に追加点を取られてしまった」という無言のあきらめが支配していた感じで、「アピールプレー」で得点が取り消されてチェンジになったんだとわかって、はじめて拍手が出るという感じ。

 あそこで1点入っていれば、王監督、最後の回は大塚につなぐ必勝リレーをしていたはずですから。悔やんでも…といっても、日本の選手、別に悔やむようなことしてないんだ。そう。審判の判定に敗れたという気はするなあ。

 判定は決着してしまったけど、この判定について、日本プロ野球機構か日本チームが、主催者の競技委員に対して、正式なクレームを出しておく必要はあるでしょう。

 試合が終わって2時間以上、たっているのだけど、「う〜ん。勝てる試合だっただけになあ…」という思いで、ちょっとつらいです。

■イチロー、日の丸と「君が代」について語る

 試合開始直前のオープニング・セレモニーの両国国歌演奏、アメリカのメジャーリーグのスタジアムで聞くと、とても新鮮でした。オペラグラスで日本チームの顔を見ていたら、ふだんのとき以上に、イチローの顔が真剣だったので、聞いてみました。

 ――アメリカで、ましてアメリカチームを相手にするというときに聞いた「君が代」はどんな気持ちだったか。また、それが気持ちを高めて、最初のHRにつながったのか?

 「これまでも日本で君が代を聞いてプレーすることはありましたが、このような最高の舞台で、またアメリカで聞くと、日の丸の重みを感じたし、強い気持ちをもってゲームに入ることができました。こんなことは初めてでした。アメリカとやって勝つためには、とにかく先に点を取るしかない、リードを奪って主導権を奪うしかないと考えていました。まさかホームランになると思って打ったわけではないですが、このアメリカラウンドで、思いっきりバットが振れたことがぼくにとっても大きなことでした」

 イチローがダイヤモンドを一周してベンチに戻ってきたとき、日本の選手たちが全員、ハイタッチでイチローの周りに集まり、一気にチームのテンションが上がりましたね。

 ぼくの席からはベンチの中がのぞけたので、ずっと見ていたのですが、最後にイチローとハイタッチしたあとの上原投手、まるで自分がホームランでも打ったように、盛り上がっていました。ヒットは打たれてもねばり強いピッチングで、ソロ本塁打の1失点に抑えたのも、イチローの一発がチーム全員に大きい刺激を与えた結果でしょう。

 あれだけいい試合をしても落としてしまった。痛い結果になりましたが、明後日のメキシコ戦に強い気持ちで臨んでもらうしかありません。

 野球のゲームの記者席で、これだけ熱くなって観戦したの、いったい何年ぶりだろう。いいゲームでした。

 2006/03/12 アナハイムより 石川保昌


プロフィールプロフィール

プロフィール

石川保昌(いしかわ・やすまさ)

筆者・石川保昌さんの顔写真

 asahi.comドイツ年特集「誘われてW杯」の連載でおなじみ。フリー・ジャーナリスト。1953年愛媛県生まれ。早大卒。ゼネコン駐在員として北アフリカに勤務後、フリーランスの編集ライター業に。専門は現代史とスポーツ。五輪、W杯、MLBなどの取材で培った独自のネットワークを駆使して、「スポーツと社会」をテーマに健筆をふるっている。編著書『W杯放浪−ボーダーレスフランス戦記』(白水社)『従軍カメラマンの戦争』(新潮社)『現代殺人事件史』(河出書房新社)など。

 サッカーW杯、メジャーリーグなど、ワールド・スポーツの取材現場から送る最新レポート 『TRAs Sports News』


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