わいわい広場
「わたしも一言」
皆さんのご意見を募集しております
トップ > 中日スポーツ > 芸能 > 紙面から一覧 > 記事
【芸能】海老蔵、「空中浮遊」に挑戦 来年正月「雷神不動北山桜」で2007年10月24日 紙面から 人気歌舞伎俳優の市川海老蔵(29)が来年正月の新橋演舞場公演「雷神不動北山桜(なるかみふどうきたやまざくら)」で、歌舞伎史上初めてラスベガスのテクニックを取り入れた「空中浮遊」に挑戦することが23日、分かった。現在、スタッフが現地のイリュージョンデザイナーと交渉を詰めており、実現すれば大詰めのクライマックスシーンで、海老蔵があたかも中空に浮かんで見える画期的な演出として、歌舞伎の新しいページをめくることになりそうだ。 同作は、1967(昭和42)年に2代目尾上松緑が国立劇場で復活上演、好評を博した。その後、96(平成8)年には、海老蔵の父・市川団十郎が演じた。近年、「毛抜」「鳴神」という独立して上演されることの多い演目が、実は通し狂言では同じ作品に含まれるものだったことなど歌舞伎ファンの間でも興味深い内容で、松緑、団十郎とも粂寺弾正、鳴神上人、不動明王の3役を演じて期待に応えた。 今回海老蔵は、その3役に加え、早雲王子、安部清行と合わせて善悪5役にふんするのも話題だ。海老蔵が座頭になって大劇場の1カ月公演を開けるのは初めて。12月6日には30歳の誕生日を迎え、正月公演は新たな10年のスタートにもなる。 団十郎が演じた時は、宙乗りという江戸時代からある歌舞伎のケレンの技法を取り入れたが、海老蔵は、さらにリアルな舞台を目指した結果、イリュージョンという現代的な手法に行き着いたようだ。現在、御園座に出演中の海老蔵は、「原作をはじめ、過去の上演台本などを参考にして、スタッフとともに、新たな舞台を考えておりますが、特に、『不動』においては、皆さまを驚かせるような構想を練っております。ぜひご期待ください」とコメントを寄せた。 また2008年は、市川家とは縁の深い成田山新勝寺が開基1070年という節目で、その記念上演にもなる。20代最後の年に、父とともに史上初のパリ・オペラ座公演を成功させるなど充実した1年を過ごした海老蔵が、自らの歌舞伎創造の夢に向かって、大きく歩み出す公演になりそうだ。公演は1月2−27日。 (本庄雅之) 【「雷神不動北山桜」あらすじ】 鳴神上人が龍神を封じ込めたため、人々は干ばつに苦しむ。早雲王子は雨が降らないのは、陽成天皇の不徳が原因と言い立て、退位を迫り、自ら天皇になろうと申し出る。実は、龍神を封じ込めたのも早雲王子のたくらみだった。 一方、小野家ではその計略に加担した悪臣たちが、お家乗っ取りを企てていた。これを文屋豊秀の家臣粂寺弾正が阻止、また、豊秀や雲の絶間姫の働きによって、早雲王子のたくらみも水泡に帰す。 1742(寛保2)年、2代目海老蔵によって大阪・佐渡嶋座で初演された五段もの。三段目が「毛抜」、四段目が「鳴神」。
|