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「医療保育専門士」制度スタート 小児医療の向上に期待
■1期生170人が研修/来秋にも誕生
病院などで病気の子供たちの保育にあたっている「医療保育士」の研修、資格認定制度がスタートし、来年秋にも全国初の「医療保育専門士」が誕生する。日本医療保育学会(理事長・帆足英一ほあし子どものこころクリニック院長)が認定する資格で、小児医療の環境向上につながると期待されている。(武部由香里)
医療保育士は「病棟保育士」のほか、一時的に病気の子供を預かる病児保育室や障害児施設の保育士など、医療と密接にかかわる専門的な保育を行う保育士。同学会によると、約350の病院で数百人が働いていると推定される。
病棟保育士は、病室の子供を集めて保育するだけでなく、つらい治療に耐える子供や家族の精神的なサポートなども行い、医療チームの一員としての専門的な知識や技術の取得も必要だ。だが、専門の学校などが少なく、就職してから独学したり、先輩保育士から学んでいる状態。保育士として採用されても、看護師の補助的な仕事をしているケースもあり、「医療チームの一員としての地位はまだ低い」(帆足理事長)のが現状だ。
このため、同学会では、医療保育士の質のレベルアップを目指して、研修を行うとともに、一定の水準に達した保育士を医療保育専門士として認定することにした。
応募資格は、医療とかかわる施設で1年以上常勤の経験、または非常勤で2年以上の経験がある保育士。第1期生の研修は、東京都内で今年3月から始まり、約170人が9月まで計5日間にわたって受講。解剖生理学や薬理学、小児医学、医療保育などの講義や演習などを受け、2000字程度のリポートを3回作成、1年後に1万5600字以上の事例研究論文を提出し、一定の水準以上であれば認定される。
研修は毎年行い、また資格認定された保育士に対しても、5年ごとに更新をしていく。
帆足理事長は「看護師とは違う視点で子供や家族と接することができる保育士が専門性を高めれば、治療に対する子供の意欲や病棟の環境の向上にいい効果をもたらすだろう」と話している。