現在位置:asahi.com>社会>その他・話題> 記事

労組調査1.8億円不適切 厚労省、OBに委託

2007年10月24日08時19分

 ストや春闘など労働組合の動向を調査する厚生労働省の「報償費」について、会計検査院が、01〜06年度で執行された計約1億8000万円分の事業内容や決算状況を調べ、全額が不適切だったと指摘していたことが分かった。領収書や、支出の裏付けとなる証拠書類がなかった上、調査結果である報告書もなかったという。

 委託事業名は「労働関係調査委託費」。労働組合の調査、情報収集が主な目的で、53年にスタート。労使協調路線や組織率の低下などで必要性が小さくなったと判断し、昨年度で事業を終えた。

 予算は年間800万〜9000万円で推移し、毎年、同省のOB約10人に個別に委託してきたという。01〜05年度の委託事業費は年間4000万円前後、06年度は約900万円で、1人あたりの委託額は年間数十万円から数百万円に上る計算になる。

 関係者によると、ストの有無や期間、春闘での実質的な要求といった情報を組合側から取る役割があったという。元厚労省幹部は「組合幹部と昼間会うのでは取れない情報を取っていた」と評価する。

 委託されたOBが使う経費は「報償費」として取り扱われ、領収書か、領収書が取れない場合は支払い証明書を提出しなければならない。しかし、検査院の調べによると、同省の労働関係調査委託費は領収書や支払い証明書の提出がなかったほか、調査結果となる報告書もなかったという。

 OBに委託してきた理由について、同省は「組合側との人間関係が重要で、労働団体に精通した人が好ましい」としている。事業を担当してきた厚労省労使関係担当参事官室は「今の段階ではお答えできない」としている。

この記事の関連情報をアサヒ・コム内から検索する

PR情報

この記事の関連情報

このページのトップに戻る