2007年10月24日 19時2分更新
5年前、広島市の県立広島病院で脳出血手術を受けた女性が死亡した原因は医師の治療ミスにあるとして夫らが損害賠償を求めた裁判で広島地方裁判所は24日、「適切な治療法がとられていればより長く生きていた可能性がある」として県に対し330万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。訴えを起こしていたのは、平成14年3月に当時、32歳で死亡した広島市の女性の夫ら2人で、この女性は別の病院で出産した際に脳出血を起こしたため、広島市南区の県立広島病院に転院して手術を受けましたが、その後、死亡しました。
夫らは病院の担当医が女性の体調を十分把握していなかった上、適切な治療を行なわなかったなどとして、広島県などに対して、約7800万円余りの損害賠償を支払うよう求めていました。
24日の判決で広島地方裁判所の野々上友之裁判長は「担当医はCTスキャンの画像から脳出血の原因を正しく認識せず適切な治療法の実施を怠った」と病院側の過失を指摘しました。
その上で「適切な治療法を施しても女性は死亡するリスクがあり、過失と死亡に因果関係があったとは言い切れないが、適切な治療法がとられていればより長く生きていた可能性がある」として、広島県に対し330万円の損害賠償を支払うよう命じる判決を言い渡しました。
判決について広島県の三宅靜香県立病院室長は「県の主張が認められず残念だ。今後、判決内容などについて弁護士と相談しながら対応を検討していきたい」というコメントを発表しました。