▽I・Uターン促す
中国地方五県が、ホームページ(HP)や電子メールを活用し、地元医療機関の求人情報提供に力を入れ始めた。首都圏などの医師や医学生にI・Uターンを呼び掛け、深刻さを増す医師不足の緩和につなげようという試みである。
「県外に住む医師とつながりを築きたい」。専用HPの年内開設を準備する広島県福祉保健部の担当者は力を込める。HPの管理や運営は、県外に約八百人の会員を擁する広島大医学部同窓会に委託。県内の医療機関の求人情報を掲載して医師不足の現状を伝える。県外の医師や医学生に登録を呼びかけ、求職者側のニーズを把握して県内就職につながる情報を電子メールや郵送などで継続的に届ける構えだ。
山口県は昨年度から県医師会のHPで公的医療機関の求人、求職の紹介を始めた。二〇〇四年度からHPに会員の求人情報を掲載してきた医師会側に、県が情報充実を提案して実現した。
現在、HPに求人情報を掲載しているのは公的六、会員八の計十四医療機関。県によると、これまでに福岡県から医師が祝島(上関町)の町立診療所に赴任した実績も生まれた。県医務保険課は「医師不足の中で貴重な一人」と喜ぶ。
島根県は〇二年度から始めた「赤ひげバンク」事業で、県内勤務に関心を寄せる医師や医学生、看護学生らに年四〜五回発行の機関紙「島根の地域医療」を発送。昨年度からは、県のHPで医療機関の求人情報を提供するとともに、HPからもバンクに登録できるようにした。
バンクには九月末現在、県外二百三十一人、県内百七十三人の計四百四人が登録。県医療対策課は「これまで県外二十八人、県内一人の就職につながっている。HP活用でさらに実績を増やしたい」と意気込む。
鳥取県も〇四年度から県のHPで、岡山県は昨年度から登録者に電子メールで医療機関の求人情報を提供している。
ただ「そう簡単に医師は確保できない」(山口県)のが実情でもある。島根県は「県外の登録者からの相談にも、なるべく職員が出向いて応じている」と面接の重要性を強調している。(渕上健太)
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