C型肝炎は輸血に伴って起こる肝炎として、1970年代のはじめに注目されるようになりました。当初、病原ウイルスは不明で、非A非B型肝炎と呼ばれていました。C型肝炎と名付けられたのは、1989年、米国で遺伝子の断片が検出されて診断法が確立されてからです。
わが国では、1989年11月から輸血用血液のスクリーニングにC型肝炎の抗体検査(HCV c100-3抗体=第一世代抗体)が取り入れられました。しかしこの検査は、感染後3〜6ヵ月経過しても70〜80%しかウイルスを検出できず、十分なものとはいえませんでしたが、1992年2月からは発症1ヵ月程度で陽性となり、広範囲の抗体検出が可能な第二世代の抗体検査が導入されました。さらに、1999年10月からは世界に先駆けて核酸増幅検査(NAT)が導入され、HCV遺伝子を検出することが可能となりました。NATの導入により、HCVに感染した血液が輸血される心配はほぼなくなりました。
しかしながら、こうした輸血用血液のスクリーニング体制が確立されるまでは、大きな手術等で血液製剤を使用した場合にはHCVの感染がないとは言い切れません。つまり、1992年2月の第二世代の抗体検査が導入される以前に輸血を受けた人、また1994年以前にフィブリノゲン製剤の投与を受けた人(フィブリン糊としての使用を含む)、または1988年以前に血液凝固第VIII、第IX因子製剤の投与を受けた人も、HCVに感染している可能性があります。
C型慢性肝炎の治療目的は、HCVを排除し、肝硬変への進展、肝がんの発生を阻止することです。わが国では1992年に抗ウイルス療法としてインターフェロン(IFN)が認可されました。しかし、遺伝子型1bで高ウイルス量(1meq/mLまたは100KIU/mL 以上)の患者さんでは、ウイルス排除率約5%に過ぎませんでした。