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基礎年金「全額税方式」も検討へ 経財会議、民主に配慮

2007年10月23日07時17分

 年金制度改革をめぐり経済財政諮問会議(議長・福田首相)が、民主党の唱える基礎年金のすべてを税でまかなう「全額税方式」を検討の対象とすることが分かった。25日の会議で具体的な議論に入る。保険方式を前提とした04年の年金改革以降、同会議は税方式を正面から取り上げてこなかった。今後、税制と社会保障制度の改革を一体で議論するなかで具体策を詰める。

 25日の諮問会議では年金制度のあり方を議題とし、日本経団連の御手洗冨士夫会長ら民間議員4人が全額税方式と、2分の1を税とする方式の二つを提示。それぞれのメリット、デメリットを検討する。全額税方式を「民主党案」とは明示しないものの、「民主党を意識した内容」(内閣府担当者)という。民主党案に配慮を示し、年金に関する与野党協議に引き込む狙いがあるとみられる。

 全額税方式については、必要となる増税幅が大きいことなどを問題点として指摘する。一方で、未納問題が起きないことなどを利点として指摘する方向で調整中だ。

 政府は04年、保険方式を前提に年金制度を改革し、経済や人口動向にあわせて給付水準を自動的に調整する仕組みを導入。「100年安心」と位置づけた。基礎年金の財源についても、09年度までに国庫負担を3分の1から2分の1に引き上げる方針を決めた。

 こうしたことから、政府内には全額税方式に否定的な意見が根強い。だが、今夏の参院選で民主党が大勝。基礎年金の国庫負担を2分の1にするには2.5兆円の財源が必要になるが、民主党の賛成がなければ実現が難しい状況になっている。

 福田首相も9月の自民党総裁選などで、税方式の検討について「柔軟に考えていい。与野党でいい案を作るのも一つの方法だ」と前向きな考えを示していた。また年金制度改革に関する与野党協議も呼びかけてきた。

 民間議員である御手洗氏も、全額税方式を主張している。25日の諮問会議では「税方式と保険方式のどちらがいいかという結論は出さない。全額税方式を頭から否定する話にはならない」(内閣府幹部)見通しだ。

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