« 絶望男の逆襲 第15回「否定できないもの」 | メイン | 投稿原稿 「リライトって、言わないで」 »

投稿原稿 「恋する権利」

投稿原稿  恋する権利 田中佑弥
 
 今年の七月だったと思う。谷町四丁目の大阪合同庁舎前で行われた平良夏芽さんの「バルブ事件」※に抗議する座り込みに行った。メッセージ・ボードを持って座り込みをしているひとがいるので、通行人がそれを見て行く。話しかけてくる人や差し入れをしてくれる人もいる。そういった人たちのなかに一人の若い男性がいた。確か年齢は、僕と同じ24歳。
 
 合同庁舎のなかには大阪労働局もあり、彼は労働相談に行ってきたらしい。なんでも、雇い主から時給を3分の2にすると通告されたので反発し、労働相談に来たそうなのだ。タダで辞めると悔しいので解雇予告手当をもらいたいと言っていたと思う。
 座り込みをしていた年配の女性といっしょに話を聞いていると彼は、こんなことを言っていた。
 気になっていた職場の女の子と親しくなる前に、会社を辞めなければならなくなった。この損害を会社に補償させたい。探偵か何かに頼んでその女の子の連絡先を手に入れて、その費用を会社に請求したい。
 
 不正雇用労働者が不当にも奪われているのは恋する権利なのだ。不正規雇用労働者は名前で呼ばれないことだってある。それでは番号で呼ばれる囚人と同じではないか。職場を転々としていては継続的人間関係を結ぶことができない。日替わりで不正規雇用労働者が変わるような職場では、正社員も名前を覚えられない。このような労働形態で奪われるのは継続的人間関係を通した存在の承認であり、ひいては職場において恋する権利なのだ。
 
 話を彼に戻そう。座り込みに来ていたひとのなかに、ユニオンの知り合いがいるひとがいたので、いっしょにユニオンの事務所に行き、いろいろアドバイスをしてもらった。
 
 その後、彼は解雇予告手当を得て退職し、現在は短期バイトをしながら、つぎの仕事を探しているそうだ。
 例の彼女とどうなったかは知らない。
 
※沖縄県名護市の辺野古では米軍基地建設計画が進められており、これに反対する人たちが阻止行動を行っている。2007年7月21日の12時過ぎに海中で阻止行動を行っていた平良夏芽さんのエアーボンベのバルブが閉められる事件が発生した。運動側は、防衛施設庁から業務を受注した業者が雇ったダイバーによって閉められたと主張したが、防衛施設庁は否定している。なお防衛施設庁は今年9月に防衛省に統合された。
 
感想はこちらへmail.gif
 
いままでの投稿原稿

2007.7.27 「不登校体験記」
2007.8.3 「ゼロからの自分 イチからのスタート」
2007.8.3 「憂鬱から生まれた歌人」
2007.8.27  「「駅のベンチ」―はじめて学校に行かなかった日―」
2007.9.3 「憂鬱から生まれた歌人」第二話
2007.9.10 「「誰かに伝えてみたいという気持ち」―Cocco「Raining」を聴いていた頃の話―」
2007.9.25 「氷河期世代は行動する」
2007.10.9 「詩」
2007.10.22 「元・不登校児 はじめてのアルバイト体験談」

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://kotolier.sakura.ne.jp/mt/mt-tb.cgi/224

コメント (2)

嘘はやめなよ。 その1 さんのコメント

 非正規雇用で、同僚と長期的な関係を築けるかもしれない可能性
から遠ざけられているので、恋愛する権利が侵害されていると
主張したいようだが、仮に長期雇用されて気になるあの娘と
長期的な関係を築けるかも知れない機会が得られたとしても、
片思いが成就するとは限らないわけで、気になるあの娘に
気に入って貰えなければ、所詮ただの同僚に過ぎない。

いまどき24のおなごがフリーター家業の男に恋するほど、
初心だとも思えんわな。

という問題は、オイラにとってはどうでもいい訳なので
横に置いといて…さて、

ニートの問題は労働問題と繋がっているからどうしても組合(左翼)勢力と結びついてしまうのだろうね。

嘘はやめなよ。 その2 さんのコメント

辺野古で平良夏芽という活動家が、ダイビング中にエアーボンベの
バルブが閉められる事件が発生して、その犯人が防衛施設庁から
業務を受注した業者が雇ったダイバーだと主張したいそうだが、
防衛施設庁は否定しているという件なんだが…

最初に手を出したのは反対運動活動家側の方で、被害を受けたのが
賛成派側の委託作業員のようですな。(笑)
  ↓
ttp://obiekt.seesaa.net/article/42261087.html
普天間移設、海自支援で調査機器設置…名護沿岸海域
5/19 読売新聞]
------------------------
この日午後、海中で作業をしていたダイバーが、タンクからの
空気を吸うため口にくわえたレギュレーターを反対派とみられる
ダイバーから外されたことが分かり、第11管区海上保安本部
(那覇)が捜査している。けがはなかった。

ほかにも機器にしがみつき作業を妨害するなどの行為があった
との情報もあり、確認を急いでいる。
-------------------------
自分達の主義主張の為には、殺人行為も辞さないというのは、
頂けないですな。

先に手を出して分が悪くなったら、今度は被害の振りして
糾弾ですか?( ^ω^)

詳しい事はこちらで↓
ttp://ameblo.jp/disclo/entry-10040727858.html

あと最後に…
ニートや労働問題の文章を発表する振りして、沖縄の米軍基地
問題等、左翼活動についての主張をするのを止めろ。
さり気なく織り込むよねぇ…
ニートをお前ら左翼の活動に巻き込むな。関係ないんだから。
それでオルグしてるつもりか?


主催者側に告ぐ。
掲載する投稿文の選別判断をきちんとしろ。
労働問題以外の政治的な文章をニート問題に絡めてあるのは、
不自然で意図的ではないか?
政治的に偏向してはいないか?

コメントを投稿

About

2007年10月22日 18:35に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「絶望男の逆襲 第15回「否定できないもの」」です。

次の投稿は「投稿原稿 「リライトって、言わないで」」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Creative Commons License
このブログは、次のライセンスで保護されています。 クリエイティブ・コモンズ・ライセンス.
Powered by
Movable Type 3.34