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安く納入させ倍額販売 差益年4千万円 保管標章問題

2007年10月19日03時05分

 自動車保管場所標章の製造を凸版印刷と国立印刷局の2法人が独占的に受注していた問題で、警察庁所管の財団法人「日本交通管理技術協会」(管技協)が、標章にはり付ける偽造防止用ホログラムシールの販売で年間約4000万円の差益を得ていたことがわかった。管技協は、シールの製造を凸版印刷に発注。同社に安く納入させ、約2倍の価格で2法人に販売していた。こうした納入、販売を繰り返すことで管技協に差益が生まれる仕組みになっていた。

 標章は全国の警察本部や県が発注。管技協は、都道府県別に2法人を割り振った一覧表を作成し、2法人は一覧表通りに標章の受注を続けていたことがすでに明らかになっている。

 関係者などによると、偽造防止のため標章にはられているホログラムシールは、標章制度開始以降、管技協が凸版1社に依頼して製造させている。同社は、管技協から渡された標章本体の予定数量一覧表をもとに、標章本体にはる過程で起きる製造ミスなどの「歩留まり」を考慮して、標章本体の数よりも1割ほど多い年約1200万枚を製造しているという。

 管技協と凸版の間で交わされた「単価契約書」などによると、管技協はここ数年、シール1枚につき3.48円(税抜き)で凸版へ製造を発注。凸版は製造したシールをいったん管技協に納入し、管技協が品質検査をして、凸版に1枚あたり6.97円(同)で販売する形になっていた。印刷局が開示した「売買契約書」などによると、印刷局も管技協から6.97円でシールを購入していた。こうした契約によって、管技協には納入価格と販売価格との差益が生まれ、その額は年約4000万円にのぼる計算になる。

 契約書面上、凸版は自社で製造したシールをいったん管技協に納入してから高値で買い戻す格好になっている。しかし、実際にはシールを製造する埼玉県内の工場から、管技協を経由することなく直接、凸版の子会社工場と、印刷局の下請けの民間印刷会社工場にそれぞれ運ばれ、標章本体にはり付けられているという。

 契約を結んだ経緯や価格の算定方法について、凸版は「見積もりを管技協に出したうえで発注を受けている。納入や購入の単価については営業秘密なので答えられない」と説明。管技協は「公取委の調べとかかわる問題なので、現時点では答えられない」と話している。

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