日立製作所が、個人向けパソコンの開発と生産を中止したことが分かった。企業向けパソコンの生産も大半はすでに米パソコン大手ヒューレット・パッカード(HP)に委託している。日立は1978年に国産メーカーで初めてパソコンを販売した実績を持つが、米国や中国などの大手メーカーの攻勢を受けて生産から事実上撤退する。
民間調査会社のMM総研によると、06年度の日立のパソコンの国内出荷台数は約58万台。国内シェアは4.5%で8位にとどまる。販売台数は01年度をピークに減少しており、日立は事業を継続しても採算確保が困難と判断したとみられる。
個人向けパソコン「プリウス」の組み立てなどをしていた愛知県の豊川工場は今月までに生産をすべて停止した。新製品の開発も今夏に販売したモデルを最後に行っていない。ただ、これまで販売した製品の修理などアフターサービスは継続する。
日立は今年3月、企業向けパソコン「フローラ」の開発・生産をHPに委託すると発表した。今後もHPから製品を調達し、「フローラ」ブランドで販売する。一部の企業向けモデルは自前で開発・生産を続ける。
MM総研によると、06年度のパソコンの国内出荷台数はNECが約272万台で首位。富士通が約243万台、米デルが約182万台で続いている。【高橋真志】
毎日新聞 2007年10月23日 11時31分