DEMO car 紹介 (SUBARU IMPREZA GC8 tarmac rally spec)




       
◆ コ ン セ プ ト 
 小西の台湾ラリーの初参戦は2003年。最初は借り物マシンの参戦だったが、これはいいプロモーション&パーツテストの場になる・・・と台湾ラリー向けに製作したのがこのマシンです。意外と知られていませんが、1997年から3年くらいは現地でGC8の生産がおこなわれており、現在もそのクルマが格好のチューニングベース車としてもてはやされています。そんなわけで、ラリーにおいてもまだまだ現役(というかほとんどすべてのインプレッサがGDBではなくGC8)。ならば同じクルマで勝負しようということでこのマシンを送り込むことに決めました。現地ではすべて4ドア車なのですこしでも差別化をということでベースは2ドアボディを選択です。

 ところでターマックラリーがほとんどの台湾ラリーだけにマシンは完全ターマック仕様。もちろん安全性と高速ラリー向けに溶接ロールケージは投入しましたが、その他のパーツに関してはけっして大げさな改造はせずあくまでSTIパーツ及び純正パーツの流用で仕上げている点でコンセプトはあくまで“究極のストリートマシン”です。それが証拠に台湾でも周りのコンペティターを「???」とさせた室内カーペットとエアコンも残された仕様。 A/m/sではこのマシンで“究極の正統派ストリートスペックGC8”を追求していくつもりです。



◆ ターマックサスペンション 
A/m/sで一番こだわるサスペンションですが、“TEIN タイプRS”ベースのラリーターマックサスペンションを装着しています。しなやか足が好みの小西だけに、スプリングレートは 「8K/6K」。 かつて全日本ラリーのターマックではフロント10Kぐらいがいいところでしたが、非常にバンピーでグリップの低い台湾のターマックにあわせてバネレートはすこし柔らかめにチューニング。車高もノーマルから-20mmくらいしか落とさずにバンプ側ストロークを最大限確保しています。

 減衰力の味付けはグリップの高いSタイヤを使ったときも“粘りを使い切る”というよりは“ズルズルしながらグリップを使う”ような使い方をするセッティング。通常の乗り心地も極めていいのでこのままストリートスペックとしても非常にいい感じです。ちなみに減衰力は伸圧別調整。伸びストロークを確保するために前後ともヘルパースプリング仕様です。 ボディ剛性が高いためかサスペンションストラットのブラケット部分のねじれ剛性がもうすこし欲しいため、今後グラベルタイプのようなブラケット補強を施す予定です。

スタビライザーは純正。リアだけはより動きをよくするために他グレードのものを流用して標準のSTIタイプRよりワンサイズ細いタイプを使用。

【写真はオリジナルサスペンション(グラベル・ターマック)用】


◆ 足 回 り そ の 他
一見ノーマルのような足回りですが、サスペンションアーム及びハブ・ナックルをすべてGDBに交換しています。サスペンションアームはGDBの方が若干長いため、GC8よりもワイドトレッド化となりコーナリング性能もアップ。ちなみにフロントロワ-アームのブッシュはGDBのスペックC用を流用。これって実はSTI製の強化タイプよりさらに強化タイプ。GC8やGDBチューンとしてはお勧めです。なお、フロントのクロスメンバーはGC8用をそのまま使いロワ-アームバーを装着。リアは高剛性を狙ってGDB用のクロスメンバーを流用。



◆ 駆 動 系
 駆動系は6MTという選択肢もありますが、5MTのドグギアトランスミッションを搭載してみました。ドグギアは低速ではちょっとギアが入りにくいため街乗りは少々疲れますが、高回転域ではすばやいシフトチェンジが可能。クラッチを踏まないギアチェンジも可能なので左足ブレーキングには最適です。難点と言えばストレートカットのギアが発するギアノイズ。ちょうどバックギアの“キューン”という音がいつもしていると思ってもらえればOK.あまりのうるささに移動区間では思わずぺルターのヘッドセットが欲しくなるほど。でもこのギアノイズや1速に入れるときの“ガコン”という音こそがドグギアらしさでもあり、WRカーのような“レーシングカーっぽさ”でもあります。

 ファイナルギアも同時変更でかなりローギアー感。シフトチェンジは大忙し。5速100km/h時に回転数は4,000RPM越え。LSDはフロント・リアともにSTI製。イニシャルはFt4K/Rr12Kのターマック仕様。センターはEMCDの純正電磁クラッチタイプ。なお、ドライブシャフトもGDB用に交換し、GC8にくらべるとかなりのバージョンアップ。235のセミレーシングタイヤでターマックを過激に走っても安心です。



◆ ロールケージ
どんなにパワーがあろうといいタイヤをつけようと“しっかりとしたボディ”があってこその話。このマシンにはスパルコ社製のFIA公認タイプをインストール。溶接タイプでしっかりとした剛性を確保。市販のGC8用スパルコケージは1996年当時の非常にシンプルなデザインのためいくつかのバーを追加してさらなる剛性を確保しています。ちなみにリアストラットの上部はXバー形状となっており十分なねじれ剛性を確保できていますが、それに対して下部のフレーム周りが弱い。そのためにリアのトランクと室内の境目くらいのフロアにメインから2本のバーを落し、サスペンションアームからの入力でクロスメンバが左右によれないようフロア部分のフレームを補強しています。フロントAピラー部分は剛性確保と近年の安全規定を導入するという意味で縦バーを追加しました(sparcoステッカー部分)。ちなみにAピラーからバルクヘッドを貫通してフロントストラット上部へバーが伸びているタイプ。過激な入力でもボディはしっかり。サスペンションの動きもよく分かり、かつ高速コースになればなるほどその安定度が違います。




◆ 内 装
シートはスパルコREVを2脚。ステアリングはやはりスパルコのサファリです。これは小西のお気に入りで2001年よりずっと愛用中のモデル。2本スポークにブルーのアルマイトがレーシーです。もちろんバックスキンモデル。シートベルトはTAKATA。そして内装で一番の注目はプロドライブ製のセンタースイッチパネル。ドライカーボン製で非常に軽くて剛性あり。当時のグループA用です。現在、キルスイッチと数点のスイッチが装着されています。ゆくゆくはセンターデフのロック状態を監視する電流計を装着予定。ラリーといっても台湾のラリーはヒルクライムのようなラリー。ロードセクションはありますが、それほど長くない。というわけでラリーコンピュータはつきません。とはいうものの助手席用のフットレストや消火器は装備しています。ちなみにインパネ鎮座するブースト計は工業用タイプ。正確で見やすいのでセッティングには最適なのですが、それをそのまま装着しています(照明がないのでナイトランではよく見えません)。ちなみに遮音効果抜群の内装のカーペットですが、小西の好みでそのまま。なぜならGC8全盛の2001年までのグループNはフロアカーペットやりアシートの撤去が許されないレギュレーション。ノーマル然とした室内にジャングルジムのような溶接ロールケージが所狭しと突き刺さるあの光景はそれはそれでカッコよかったものです。そんな雰囲気!?を再現しようとしたとかしないとか・・。(そしてなぜかエアコンも装着・・台湾は暑い国ですから・・)




◆ 外 装
フロントのバンパーは22Bタイプのものに交換。GC8といえばこれ!というくらいこのデザインは似合ってます。開口部も大きいので冷却効率的にもGOODです。リアのスポイラーは22B用の角度調整タイプ。2ドア車には似合っていてカッコは非常にいいのですが、重たいのが欠点。それ以外の外装はほぼノーマルです。ただし、235/45/17インチしかもオフセット35のホイールを収めるために、フロントとリアのフェンダーは目いっぱいたたき出しています。前述のようにサスペンションアームがGDB用のためこれでも若干あたるくらいです。ボンネット上にはランプポッド。ナイトランのほとんどない台湾ラリーですが、いちおう装着しています。これはGC8のグループAが装着していた初期の頃のランプポッド。プロドライブ製です。ドライビング4灯なのですが、ナイトランはこれを無くしてはアベレージ100km/前後のSSは絶対に走れません。




◆ ブ レ ー キ
ブレーキは普通の4POD、2PODを利用。ブレーキパッドはオリジナルモノをこれでセッティングしました。ブレンボキャリパーも悪くないのですが、いくら制動性能が高いといっても軽量GC8ボディには重たいブレンボシステムは不要と考えた結果。ちなみにペダルを踏んだ瞬間からクルマが制動をはじめるまでの“レスポンス”はブレンボよりもGC8の16インチ4PODの方が良好。絶対的制動キャパを持つブレンボですが、ローターが重たすぎてその慣性モーメントが制動開始の邪魔をします。ブレンボローターと16インチ4PODローターは“純正フライホイール”と“軽量フライホイール”の違いと同じようなものと考えればイメージしやすいでしょうか。加減速の多いラリーでは“高レスポンス”と“軽量”なのがミソです。




◆ エ ン ジ ン
FIAレギュレーションではない台湾ラリーは、エンジンに関しての改造は比較的自由。パワー制限のリストリクターも当然なし。向こうではGC8にGDBのエンジンを換装するのが流行ってますが、そこはあえて“腕で勝負”とばかりエンジンはまったくのノーマル状態です。ただし、加減速の多いラリーではパワーレスポンスが最重要なのでミスファイアリングシステムは譲れません。これを実現するためにMOTECで制御。どんな状況でも抜群のピックアップです。



◆ T A I W A N ラ リ ー

【台湾ラリーでの走行シーン】
>>MOVIE
Driver : 小西重幸 (KONISHI)
(2004年6月27日)

おまけ写真・・
横浜本牧
船積み出航前
(2004年5月)


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