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認知症ドライバー:専門医、初の全国調査へ 来春、国に総合的対策を提言

 認知症の専門医らで構成する日本老年精神医学会(小阪憲司理事長)は近く、患者の車の運転に関する初の全国調査に乗り出すことを決めた。認知症ドライバーはそうでない人よりも交通事故を起こす割合が高く、警察庁は09年までに運転免許更新時の認知機能検査を導入するが、医療現場からは対策の不備を指摘する声が上がっていた。学会は調査結果を踏まえ、来春、国に総合的な認知症ドライバー対策を提言する。

 調査は会員約2500人の医師らが、今年11月ごろから3カ月間に診察する患者に、アンケート形式で実施する。医師が患者の病状や年齢などを記した上で▽運転免許を持っているか▽事故を起こしたことがあるか▽何のために車を運転するのか▽運転の頻度▽家族は運転の変化に気づいているか--などを質問する。

 警察庁は65歳以上の認知症患者のうち約30万人が免許を持っていると推計しているが、実際に運転している患者数や事故の実態は把握していない。重大事故が散発したことから道路交通法を改正し、高齢者講習に簡易な検査を新設することにした。しかし対象年齢は75歳以上に限られる。さらに検査で「認知症のおそれがある」と判断されても、取り消しなどの対象は過去1年間に違反歴がある人だけで、9割近くが次の更新まで運転を続けられる。

 委員会メンバーの池田学・熊本大大学院教授(神経精神医学)は「認知症検査の導入は評価できるが、内容は実態を踏まえていない。調査で患者の運転の現状を明らかにし、警察庁だけでなく厚生労働省にも対策を求めたい」と話している。【板垣博之】

毎日新聞 2007年10月18日 東京朝刊

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