県は23日、県立医科大学(和歌山市)の入学定員が2008年度から現行の60人から85人になると発表した。増員分25人については、卒業後に県内の医療機関で9年間勤務することなどの条件を付け、うち5人は県内高校の出身者とする。仁坂吉伸知事は「県の最重要課題の一つ。定員増の効果を最大限生かせるよう医師不足対策に取り組みたい」と話している。 定員増は、緊急医師確保対策として厚生労働省と文部科学省が協議して決めた。県立医科大学の定員は、横浜市立大学と並び、全国の国公市立の医学部で最も少ない60人だったため、大幅な増加が認められた。 県立医大は増員する25人のうち、20人については「県民医療枠」を設け、県内の地域中核病院で卒業後9年間働く誓約書を提出してもらうという。県民医療を担う中心的人材として育成する方針。 残る5人は「地域医療枠」とし、入学条件を県内高校出身に限定し、知事が指定する医療機関で勤務することを条件に返還を免除する奨学金を設定する。卒業後9年間、へき地医療拠点病院やへき地診療所、県が指定する公的医療機関に勤務する誓約書を提出してもらうという。同大学では、これまでも定員60人の1割程度を推薦入試で県内の高校出身者から採っていたが、一般入試でも地元優遇枠を設けた。研修施設建設し、寄贈住友金属工業 県立医科大学の入学定員増に合わせ、県は同大学敷地に建設を計画していた研修医の研修施設「地域医療推進センター」について、住友金属工業(和歌山)に建設してもらうことを明らかにした。 県は研修医確保のため、研修医が学ぶ専用施設の建設を計画していたが、財政難で具体化していなかった。このため、仁坂知事は今春、住友金属工業に対し、建設と寄贈を依頼していた。建設費は約10億円になるとみられる。 地域医療推進センターは、県立医大の敷地内に建設する計画で延べ床面積3000平方メートル。研修施設のほか、県民への健康講座なども開催できる施設。09年度中の完成を目指している。 住友金属工業総務室は「企業の社会貢献が求められており、県の最重要課題に寄与することで県民全体に役立つことができると考えている」と話している。