現在位置:asahi.com>教育>大学> 記事

私大医学部、納付金値下げ続々 国立大の定員増視野に

2007年10月23日

 都内の私立大医学部が来春入学者の入学金や授業料などの納付金を相次いで値下げする。優秀だが経済的余裕がない学生を迎え入れるのが狙いだ。来春には地方の国立大医学部が定員を増やすことが決まっており、優秀な学生を獲得しようと私立と国立の競争は激しさを増している。

 昭和大医学部(品川区)は来春から、6年間合計の納付額を今より400万円安い2650万円とする。入試の成績上位者は、500万円安くする。守屋明俊教務部長は「最近、学生の水準が、学力以上に人間性の面で低下している。両方優れているのに高い学費を理由に受験をあきらめている受験生に来てほしい」と話す。

 同大の06年度の収入は1056億円。学生納付金は100億円で、付属病院の医療収入647億円に次ぐ大きな収入源だ。今回の値下げで年間5億円の減収となるが、守屋部長は「現在の利益でぎりぎり対応できる。いっそう経費節減を進めていきたい」。

 さらに大幅な値下げに踏み切るのが順天堂大(文京区)だ。880万円引き下げて同2090万円とする。日本医科大(同)は同27万円減だが、保護者に負担感が大きい初年度納付金を588万円と52万円値下げする。

 日本私立医科大学協会によると、現在、医学部生が6年間で支払う納付金の平均は、国立大が350万円なのに対し、私大は10倍近い3357万円。私大が医学部生1人を6年間教育するのに約1億円の経費がかかるため、容易には値下げに踏み切れないという。

 今回の動きについて、代々木ゼミナールの坂口幸世本部長は、地方の医師不足対策として来春、地方国立大医学部の定員が8校で計80人増えることの影響を指摘。「値下げする3大学とも伝統校で、内部留保に余裕があるから実現できた面もあるだろう」

このページのトップに戻る