医師不足など、県内の医療の深刻な問題について話し合うシンポジウム「日本の縮図〜兵庫の医療を考える」がこのほど、神戸市中央区海岸通の県農業会館であった。救急の市外搬送、病院の経営難など各地域の厳しい現状が報告され、出席者は改善に向けた早急な対策の必要性を再確認した。
県保険医協会の主催で二十一日に開かれた「日常診療経験交流会」の特別企画。初めに、同協会の清水映二理事が、県内三百五十一の公立・民間病院を対象に行った医師不足の現況に関するアンケート(回答率21%)について報告した。
それによると、公立では特に内科と小児科、民間は内科と外科の医師が臨海部、内陸部に関係なく減少している実態が明らかに。清水理事は「医療は地域を育て、地域に育てられる。まち全体で取り組まなければならない問題だ」と訴えた。
続いて北播、但馬、丹波、淡路の現状が発表され、経営難による病院の集約化、救急患者の受け入れ先がなく、市外への搬送が増加している-といった問題点を指摘。解決策として勤務医の待遇改善や診療報酬の引き上げ、休日診療所の充実などを求める声が上がった。
(今泉欣也)