NIKKEI NET 特集 スポーツから学ぶ経営戦略 勝利への執念 Desperate efforts to win 提供 富士通

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―――早稲田大学の現役時代、4年生のときに大学選手権でキャプテンとして優勝しました。大学時代で印象に残っているのはどんなことでしょうか。
 早稲田のラグビー部には、全国から集まった160人の部員がいました。一番感じたのは、その160人の人の熱です。7軍まであって、下に行けば行くほどたくさん練習するんです。関西では試合に出る選手が一番多く練習するという考え方が普通でしたから、衝撃でした。これが勝ち続ける理由だと思いました。
 私は高校日本代表のキャプテンをやっていたのに、最初はロック()をやらされました。181cmありましたから、私が一番大きいという理由でしょう。しかし、不満に感じることもなく、不思議なぐらい素直に受け入れていました。先輩たちは、私には無いものを持っていたからです。
 先輩たちは、試合当日、ロッカールームで朝から一言も話さずに瞑想したり、壁を殴ったり頭付きをして集中します。それをビッグゲームだけではなくて、普通の練習試合でもやるんです。新鮮な感覚でした。
 1軍として出るからには常に1軍らしい試合をしなければいけない。それぐらい1軍には責任がある。先輩の姿を見ていれば自然にそういうことが伝わってきました。
―――その後、サントリーで活躍し、現役引退後には早稲田大学ラグビー部監督、そしてサントリーラグビー部の監督になりました。指導する立場になって変わったことはありますか。
 選手時代を思い返すと、自分が納得できるかどうかが大きなポイントでした。いろいろな指導者に出会いましたが、戦術、スキル、練習内容といったものを、選手とコーチ陣が共有できているかどうかは重要でした。理不尽な練習や非科学的な練習ももちろんあります。でも、指導者がなぜそれが必要かという答えを持っていれば、選手は信じてやれるのです。それが原点だと思います。しかし、実際はどちらの選択が正しいか、どちらが結果を出しやすいかを一つひとつ考えて、整理していくだけです。時代は変わるし、選手も入れ替わりますから、やり方はどんどん変わっていきます。長い選手時代、答えはひとつだけじゃない、いろいろなアプローチがあるということを学んだと思います。
  監督になって、ラグビーにかかわる時間は、選手時代の3倍ぐらいあります。でも、ラグビー一辺倒では、いい答えが出せないと思います。ラグビー以外のことも一生懸命やることが、いずれラグビーに返ってくる。いろいろな経験をすることで自分が成長するのだと思っています。
※ロック:スクラムを組む際に、最前列のフォワードを後ろから支えるポジション。チームで最も体の大きい人が任されることが多い。
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Column スポーツから学ぶ経営戦略 清宮克幸の視点2
指導者がなぜそれが必要かという答えを持っていれば、選手は信じてやれるのです。
明確な目標設定と相互の信頼関係があるからこそ、力が発揮できると語る清宮氏
お客様に選ばれ続ける銀行を目指し、業務革新を図る銀行の成功事例に学ぶ。
麻木久仁子がレポートする企業の先進IT活用事例
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スポーツから学ぶ経営戦略 「勝利への執念」 「怖さを知ればより強くなれる」 掛布 雅之 氏 (プロ野球解説者)
「教えることが自らの成長」 江連 忠 氏 (江連忠ゴルフアカデミー代表)
「決断力」 羽生 善治 氏 (棋士)
「個を耀かせる指導力」
平尾 誠二 氏 (神戸製鋼ラグビー部ゼネラルマネージャー)
「ライバルを自らの成長の糧に」 西本 聖 氏 (プロ野球解説者)
「努力する才能」 有森 裕子氏 (元マラソンランナー)
「すべては決心することから始まる」 古賀 稔彦 氏 (柔道家)
「目標は遠く、高く、大きく」 羽川 豊 氏 (プロゴルファー・ゴルフ解説者)
「厳しさが喜びと自信を生み出す」
小谷 実可子 氏 (スポーツ・コメンテーター)
「組織の中に“熱”はあるか」 清宮 克幸 氏 (サントリーラグビー部監督)
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