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―――早稲田大学の現役時代、4年生のときに大学選手権でキャプテンとして優勝しました。大学時代で印象に残っているのはどんなことでしょうか。 私は高校日本代表のキャプテンをやっていたのに、最初はロック(※)をやらされました。181cmありましたから、私が一番大きいという理由でしょう。しかし、不満に感じることもなく、不思議なぐらい素直に受け入れていました。先輩たちは、私には無いものを持っていたからです。 先輩たちは、試合当日、ロッカールームで朝から一言も話さずに瞑想したり、壁を殴ったり頭付きをして集中します。それをビッグゲームだけではなくて、普通の練習試合でもやるんです。新鮮な感覚でした。 1軍として出るからには常に1軍らしい試合をしなければいけない。それぐらい1軍には責任がある。先輩の姿を見ていれば自然にそういうことが伝わってきました。 |
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―――その後、サントリーで活躍し、現役引退後には早稲田大学ラグビー部監督、そしてサントリーラグビー部の監督になりました。指導する立場になって変わったことはありますか。 選手時代を思い返すと、自分が納得できるかどうかが大きなポイントでした。いろいろな指導者に出会いましたが、戦術、スキル、練習内容といったものを、選手とコーチ陣が共有できているかどうかは重要でした。理不尽な練習や非科学的な練習ももちろんあります。でも、指導者がなぜそれが必要かという答えを持っていれば、選手は信じてやれるのです。それが原点だと思います。しかし、実際はどちらの選択が正しいか、どちらが結果を出しやすいかを一つひとつ考えて、整理していくだけです。時代は変わるし、選手も入れ替わりますから、やり方はどんどん変わっていきます。長い選手時代、答えはひとつだけじゃない、いろいろなアプローチがあるということを学んだと思います。 監督になって、ラグビーにかかわる時間は、選手時代の3倍ぐらいあります。でも、ラグビー一辺倒では、いい答えが出せないと思います。ラグビー以外のことも一生懸命やることが、いずれラグビーに返ってくる。いろいろな経験をすることで自分が成長するのだと思っています。 |
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※ロック:スクラムを組む際に、最前列のフォワードを後ろから支えるポジション。チームで最も体の大きい人が任されることが多い。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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