ボクシング界が大きく揺れている。世界タイトルマッチで繰り返された悪質な反則行為によって、亀田大毅選手と父親の史郎トレーナーが長期の出場停止など厳罰処分を受けた問題が大きな反響を巻き起こしている。
これまでにもこの一家には、記者会見の席などで、「パフォーマンス」というには度を越した不遜(ふそん)な態度が幾度か見受けられた。彼らは「これが自分たちのスタイル」と、ヒール(悪役)を売り物に、勝ち続けることであらゆる批判を封じてきたが、今度ばかりはそうはいかなかった。
今回の件で最も責任を問われるべきは親だろう。謝罪会見までの経緯を見て感じるのは、モラルや常識の欠如だ。そのことは、学校現場で全国的に増加している、給食費を払わない保護者、さらには学校に理不尽な要求をしたりクレームをつける保護者の姿とだぶる。
文部科学省や各自治体教委によると、給食費未納については、経済的に払えるのに意図的に払わないケースが多いという。提訴など法的措置を含め、強硬手段を取らざるを得ないような現状は嘆かわしい限りだ。
学校現場で、より深刻なのは無理難題を突きつける保護者のほうかもしれない。授業に支障をきたすばかりか、ストレスでうつ状態になる教員もいるという。岡山県内でも、子ども同士のもめごとで教員を自宅まで何度も呼びつけるケースなどが報告されている。対処の手引書の作成、学校側が弁護士に直接相談できる制度の導入など、全国で対策強化が進みつつある。保護者側は重く受け止めなければならない。
(社会部・南條雅彦)