製薬会社、197人の実名把握 薬害肝炎2007年10月22日 厚生労働省と製薬会社が、血液製剤でC型肝炎に感染した患者を把握しながら本人に知らせなかった問題で、同省は22日、感染の疑いがある患者2人の実名、116人のイニシャルが書かれた資料を02年時点で持っていたことを明らかにした。一方、旧三菱ウェルファーマ(現田辺三菱製薬)は、同省に患者197人の実名と170人のイニシャルを把握していることを報告。同省は個人を特定できる場合は感染の可能性があることを本人に告知し、受診や検査を促すよう指示した。
02年当時、患者を特定して検査や治療を呼びかけていれば症状悪化を防げた可能性がある。厚労省は同日、今回新たに見つかった資料を収集した経緯や、患者に知らせる対応を取らなかった理由などを調査するプロジェクトチームを設置した。 厚労省で見つかった資料には、実名かイニシャルが分かる118人のほかに、医療機関名や投与日など特定につながる47人分の情報が記載されている。9人は薬害C型肝炎訴訟の原告の可能性が高いが、国は2人について血液製剤の投与を認めていなかった。この2人のうち1人は大阪訴訟の原告とみられる。 厚労省は02年、旧三菱ウェルファーマから血液製剤フィブリノゲン投与後の肝炎発症などの副作用症例418人の報告を受けた。この報告について今月18日、民主党に「患者の名前や医療機関名については製薬会社から報告がなく、資料もない」と説明していた。 ところが、翌19日夜、実名などの記された資料が厚労省の倉庫から見つかった。ファイル8冊分で、特定につながる情報が黒塗りで消された資料と、消されていない資料の2種類。両方とも「厚労省が提出を求めたものだった」という。 厚労省医薬食品局の中沢一隆総務課長は「当時の肝炎問題の調査チームが解散し、今の担当者が知らなかった」と説明している。 一方、田辺三菱製薬の葉山夏樹社長は22日、舛添厚労相に把握している患者情報について報告した。報告によると、実名を把握している患者197人のうち住所が記載されているのは40人、市町村などがあるのは27人、都道府県のみは12人だった。 これまで告知しなかったことについて、葉山社長らは報道陣に「プライバシーが崩れない的確な方法が見つからない限り、私たちが働きかけるのは難しかった」と説明。今後、社内にプロジェクトチームを作り、本人への告知などの対応を急ぐ考えを示した。 健康
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