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【社会】

薬害肝炎118人の個人情報把握 厚労省、通知怠る

2007年10月22日 夕刊

 薬害肝炎の原因になった血液製剤フィブリノゲンを投与後にC型肝炎を発症した四百十八人に対し、製薬会社が事実関係を伝えていなかったとされる問題で、厚生労働省は二十二日、百十六人分の患者のイニシャルと二人分の実名が記載された資料が見つかったと発表した。

 患者個人の特定につながる資料が相当数見つかったことで、厚労省の対応に批判が高まりそうだ。厚労省は同日、本人への通知努力をしなかったことについて当時の関係者らの法的、道義的責任の有無などを検証する調査チームを設置する。

 このうち、薬害肝炎訴訟の原告の可能性が高いのは九例。うち二例については訴訟で製剤の投与も認めていなかった。

 百十八人以外にも、詳しい症例報告などが記載された患者情報が四十七人分あった。投与した医療機関が特定できたものも二十四例(イニシャル十九例、実名二例、氏名記載なし三例)あった。

 この症例一覧表は二〇〇二年八月までに、フィブリノゲンの製造元だった旧ミドリ十字を継承した三菱ウェルファーマ(現田辺三菱製薬)が厚労省に提出。当時の公表資料には投与年月日や発症日、症状などが列挙されていたが氏名はなかった。厚労省の指示でイニシャルや実名を黒塗りにしたものとそうでないものが提出されたが、厚労省は「患者個人を特定する情報を持っていない」と説明していた。

 薬害肝炎大阪訴訟の過程で、国や製薬会社側が投与の事実や肝炎発症との因果関係を否認していた原告の女性一人について、症例一覧表に投与日と発症日が同じ症例データがあることが判明。弁護団が釈明を求めたところ同社側は九月、投与の事実や因果関係を認めた。女性の個人情報開示請求に対し今月五日、同社の子会社「ベネシス」から氏名や投与量、医療機関、症状などを把握している旨の回答があった。

 

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