北京オリンピック開催まで1年を切り、スポーツ界ではカウントダウンが始まりました。この最高峰のスポーツの祭典でプレーするために、世界中のトップアスリートがいま、しのぎを削っています。
こうしたアスリートたちがやらなければいけないことはさまざまありますが、その一つにあげられるのがコンディショニングです。いいプレーをするためには、試合当日に身体・技・心のすべてが、最高の状態でありたいからです。とはいえ、トップ選手ともなれば、試合当日だけではなく、試合時間にも合わせて調整を行ないます。それだけに、非常に微妙なのです。トップアスリートといっても、生身の人間。しっかりと準備していても、ほんのちょっとしたことで、調子が狂ってしまうからです。“試合の日よりも、翌日のほうが調子が良かった”なんてことが私自身にもありました。
このように、最高のコンディションにもっていくためには、アスリートにとって日常生活を含めたすべてが練習やトレーニングの場になってきます。つまり、競泳の選手だから、プールで、トレーニングジムで鍛えていればいいというものではないのです。
たとえば、スポーツ選手の資本といえば身体ですが、この身体は何でできていますか? そうです。私たちが毎日口にしている野菜や肉、ごはんや果物といった食べ物からできています。だから、何を食べるか、どう食べるか、ということがとても大切です。
たとえば、パーティー。トップ選手ともなれば、パーティーに招待されるようなこともあります。そんなとき、見知らぬ人たちのなかで、どのように振る舞うか。あいさつの仕方、話し方、感謝の気持ちを表せるかどうか。こんなところも、やはり練習の場なのです。
こうしたことから考えると、スポーツ選手にとって、どういう友だちとつきあうか、どんなところへ出かけるか、どういう人と会話をするか。練習場を離れてからも24時間、すべてが訓練の場になるのですね。そうして、それらの積み重ねが表彰台の台の高さの差に現れる。記録にすれば、それはレイコンマ1の差かもしれません。でも、表彰台というあきらかな差となって表れてくるのです。だから、選手たちはどれだけ練習しても悩むのかもしれません。私も45年間、泳いでいますが、未だにわかりませんし、また、わかる日が来ることは永遠にないと思っています。
ミミスイミングクラブでも、記録会が近づいてきました。記録会は隣のレーンを泳ぐ人との戦いではありません。自分との闘いです。人がどう泳ぐか、何秒で泳ぐか、ではなく、自分がもてる最高のものを出す機会なのです。「記録会はドキドキする」のは当たりまえです。練習さえしていれば、結果はおのずと付いてきます。
「スタート」の合図がなったら、水の中ではおかあさんも助けてくれません。ゴールまで泳ぎきるには、これまでやってきたこと自分を信じるしかないのです。小さな大会ではありますが、ここを乗り越えれば、また一つ大きなものを得ることができるにちがいありません。みなさん、頑張りましょう。
ミミスイミングクラブ代表
木原 光知子