福井県三国町から(サッカーとマラソンと経済学を語るブログ)

一言メッセージ :祝サブスリー! サッカー、マラソン、陸上競技、経済学について考えるブログです。

  • お気に入りブログに登録

陸上競技

[ リスト ]

箱根駅伝の功罪

よくありがちな(特に陸上をやったことがない人に)な反論が寄せられたので
私見をのべます。

大学陸上界の中央は関東であって、全日本大学駅伝を見てもこれらの6校の大学に絡んでくるチームはないでしょう。大学トップランナーは関東に集まりますから、地方の大学は所詮レベルが低い。箱根が男子マラソン低迷には繋がらないと思いますが

大学陸上界が関東中心かどうかはこの際どうでもいいです。
びわ湖駅伝のステータスがあがってこない限り、

全日本選手権より関東選手権がえらい

という混同はなくならないでしょうから。

しかし、箱根駅伝の日本陸上界に与える害悪は計り知れないものがあります。

まず、陸上・市民マラソンをやったことがない人にこれだけ分かってもらう必要があります。
あなた方にとって、

1500m以上の持久走は「マラソン」そのもの

だったでしょうが、長距離・市民マラソンにいそしむものにとって、

800m、1500mは酸欠・乳酸に苦しみまくる中距離

であり、ハーフマラソン・フルマラソンとはまったく異なる競技なのです。

もっといえば
 中距離 800〜1500m
  (3000m、5000m)
 長距離 5000m、10000m
 ハーフマラソン
 30kマラソン、フルマラソン
に分類でき、それぞれを極めるには、専門的練習が必要になるのです。

特に3000mは、最大酸素摂取能力で維持できる最大の距離といわれ、
中距離的でもあり、長距離的でもあります。
これが、5kになった瞬間に、より高度がスピード持久力が求められます。

高校駅伝を見てもわかるように、
これが8k、10kになるともっと上のレベルのスタミナが求められます。
しかし、10kまでのレースは、無酸素運動の能力をあわせて求められ、
乳酸の蓄積と酸欠の狭間を戦う競技でもあります。

ハーフマラソンは当然スタミナを求められますが、そのほとんどが有酸素レベルの運動であり、
10kまでの距離とは様相が変ります。
市民ランナーの中には、ハーフ以上の距離しか走らない人が多くいます。
これはハーフ以上の距離になると、有酸素運動になり、
ランニングハイを味あうことができる距離になるからです。

箱根はどの距離で争う競技でしょうか。
いわずもがな21k前後のハーフの距離です。
今年5区が変更になりましたが、まだまだ中途半端。

現在の日本の大学生は、ハーフを速く走れればよいのあり、
極論を言えば、ハーフさえ走れれば、
フルマラソンを走るスタミナも、5000m、1万mを速く走る能力も
まったく求められていないのです。

結果、21kという距離をしっかり走る能力をのっとも伸びる練習が
大学生の主要なメニューになります。

さて、今から20年前の日本陸上界は、
 瀬古利彦、新宅雅也、金井豊
 伊藤国光、喜多秀喜、中山竹通、鎌田利明、宗猛
といったトップランナーがいました。

1,2列目それぞれと全員の共通点はなんでしょうか?

まず、全員の共通点は、1万m27分台のランナーであることです。
瀬古さんは大学生で27分台を出してました。
今年の日本人では、三津谷、松宮隆行、大森輝和の3名しかいません。
俗にいう箱根組はゼロです。
次に1列目は箱根経験者、2列目は箱根未経験者です。

しかし、この3名でも新宅さん、金井さん、あと中村孝夫さん、
石井隆史(前1500日本記録保持者)さんはトラック(特に中距離で)活躍しながら
そのついでに箱根を走っていました。
瀬古さんなんか福岡で優勝した1月後に走っていました。
20年前は、28分台で走る18〜23歳の選手がたくさんいましたが、
今日で28台で走れば、日テレ様に「大学の快速エース様」扱いです。

現在の大学生は(指導者の問題が大きい)、上記のような選手はいません。
あくまで箱根できちんと走ることのみを求められます。
極論を言えば、1500mで日本記録を出すことよりも
ハーフを1時間2分台で走る選手の方が偉いのです。

ハーフがはしれりゃ、別にいいじゃん


という声が聞こえてきそうですが、それは大いなる勘違いです。
スタミナは年が行っても鍛えることができますが、
スピードは若いうちにしか身につけることができない
のです。

今、世界のマラソンは2時間6分前後の力を求められます。
キロ3分きるかどうかです。
1万mを28分切れないランナーと27分30秒のランナーと
どちらが楽に3分を維持できるかという問題です。
その意味で、若いうちにスピードを鍛えさせてもらえない
日本長距離界の現状は、寒すぎるものがあります。

今の日本の長距離大学生は、中距離を走ることはほとんどありません。
高校生までは1500mと5000mを走っていたのに
大学に入った瞬間、ハーフマラソンのみの能力を求めらることになるのです。

まあ、実業団出身の指導者がその辺の弊害に思いをいたし、
トラックで十分スピードを鍛えるアプローチを取る指導者が
ほんの一部出てきました。

中央の上野君は、中距離のついでに箱根を走ってもらえばいいという約束での
勧誘でしたから、今年、彼は1500mを主戦場に戦ってきました。
スピードランナーで知られた大崎栄監督の東海大学も
佐藤悠基君が春に13分30秒で走るなど、トラックにも積極的に取り組んでますが、
そんな選手はほんの一握りであるのが現状です。

特に中距離界への弊害がひどく、元来中距離の才能のある選手まで
箱根対応を求められるのが現状で、多くの選手が才能をつぶされています。
たまたま箱根も走れた岩水嘉孝、小林史和選手は、生き残り、
日本記録を更新しましたが、普通、800、1500mで最も良い選手が
ハーフ向きの練習ばかりさせられて、生き残ることはほとんどまれといってよいでしょう。

まあ、一度、市民マラソンの世界にどっぷりつかり、
中距離と長距離の違いから身をもってご理解いただけなければ、
何をいってもご理解いただけないでしょうが。

考えるヒント
ジョギングにいそんしんでいても、サッカーやバスケットでは
酸欠や乳酸に苦しみます。(うまく対応できません)
なぜでしょう?

閉じる コメント(5)

Yahoo!アバター

僕も箱根駅伝を志した一人ですが、できれば1500mの延長で出たかった一人でもあります。結局、どっちも中途半端に終わりましたけど。納得してしまいました。2006年も面白いネタをお願いします!

2005/12/31(土) 午後 11:53 crosswind_chronometre

顔アイコン

「現在の日本の大学生は、ハーフを速く走れればよい」そんな事は全くない…。あなたこそ日テレやマスコミに踊らされてませんか?現在は練習方法や環境も違うし20年前の人の話しを持ち出してもねぇ。今の学生の方が遥かに28分台を出してる選手の数は多いかと。「日本の長距離大学生は、中距離を走ることはほとんどありません。」な事もないw逆に今回の箱根で中距離専門のトップクラスで箱根のメンバーに入ってない人もいる。あってる事もあるけど自適見解が多過ぎですね。学生長距離界は箱根が全てではない。 削除

2006/1/1(日) 午前 4:24 [ 東海太郎 ]

顔アイコン

今年もよろしく。私は箱根駅伝は功罪半ばで、北山さんのいい分も、東海太郎さんのいい分も間違っていると思いません。ただ普及の貢献とハーフマラソンくらいの距離に適応し、5千、1万にもマラソンにもはまらないランナーも多い(男子の性質もあるが)。次の山鹿ニュースで特集します。

2006/1/1(日) 午前 11:08 [ zenikinnyama ]

顔アイコン

実業団駅伝なんか10kから22kまでありますよね。中距離の選手が10kで活躍することがおおいです。女子の場合、3kから11kまでありますから、中距離〜マラソンの選手まで活躍できる土壌があります。私が言いたいことはこういうことですが・・・

2006/1/3(火) 午後 11:12 [ tkitayama2002jp ]

顔アイコン

亜細亜大の優勝、距離重視に拍車をかける気がします。今、駅伝の功罪、特集しました。 http://blogs.yahoo.co.jp/zenikinnyama/21396982.html

2006/1/3(火) 午後 11:49 [ zenikinnyama ]

コメント投稿
名前パスワードブログ
投稿

閉じる トラックバック(1)

トラックバックされた記事

喜多秀喜について

喜多秀喜喜多 秀喜(きた ひでき、1952年9月28日 - )は佐賀県出身の陸上競技選手、流通経済大学法学部教授、陸上競技部監督。地元の県立鹿島実業高校を卒業後、福岡大学に進学。小柳ルミ子の母校の夜警アルバイトなどをしながら競技生活をつづけた。福岡大学卒業後、神戸製鋼所に入社。武冨豊

2007/2/10(土) 午前 1:31 [ スポーツ ]

トラックバック先の記事

  • トラックバック先の記事がありません。

.

プロフィール画像アバター画像

プロフィール画像(クリックで拡大表示)

ブログプロフィール表示tkitayama2002jpメッセージを送信

人気度

ヘルプ

  今日 全体
訪問者 42 20440
ファン 0 8
コメント 0 259
トラックバック 0 34
  • My Yahoo!に追加
  • RSS
  • RSSとは?
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

Yahoo!からのお知らせ

開設日: 2005/7/24(日)


プライバシーの考え方 -  利用規約 -  ガイドライン -  ご質問・お問い合わせ

Copyright (C) 2007 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.