私たちは出来れば何か買ってあげたかったのですが、あまりに昔の古臭いデザインばかりだったのでそこでは何も買いませんでした。
その次もキムがブランド店に誘ったので、やんわりと断ってチャガルチ市場へ行く事にしました。
キムは車の中で「女の人も紹介できるヨ」というので話だけ聞いてみると何でもソウルや釜山は街の中で金持ちと貧乏がはっきりわかれていて
貧乏な人はそれでも街に住みたいから体を売るというようになるというような話をしてくれました。
お金持ちは成功して巨万の富を得てこの街に来るので凄く楽しいと思うとも。
私は「金で女を買う」ということに抵抗があったので話を聞き流しましたがそういうルートもあるんだなと妙に感心しました。
そうしている間にチャガルチ市場につきました。
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チャガルチ市場の入り口付近です! ワクワクしますね。韓国語はわかりませんが、キャラのポーズなどから
「チャガルチ市場へようこそ!」
というニュアンスでいいと思います。
間違っていたらごめんなさい。 |
チャガルチ市場も活気があって凄く生き生きしている観光地の1つです。
ですが、地元の人が買う他は旅行者がバリバリ買うということもないかと思います。簡単に言ってしまえば露店の魚売りなのですから。
旅行者がホテルに帰ってその魚をさばいて食べるかというとそうではないでしょう。かといってそこで調理してもらって食べるにしてもなんか衛生状態が悪そうです。
どちらかといえば乾物系がよく売れている感じでした。
ですがチャガルチ市場の中でもテナントに入っているお店はそこで調理して食べさせてくれるというものもありました。
テナントに入っているというのは道端の露店で売っているのではなく、建物の中にテナントとして入っていて、いけすや水槽の中で泳いでいる魚をさばいてくれるという意味のお店です。

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こんな風にビルの中に入っていて営業しているところもあります。左の写真にある黄色のテーブルは、そこで調理してもらった魚を食べることの出来るスペースです。 |
なんとなく日本の魚屋の集合体のような感じがします。大きなスーパーに行くとパック詰めされていない新鮮な魚をザルに入れて並べて売っていたりしますね。
あんな感じの「海産物問屋が出している店」がたくさん集合している感じなのです。
個人的には貝類の中でもホタテのようなのが日本のものより大きくてビックリしましたが、何よりも水槽の中のサカナが沢山いるのに元気でイキがいいのに驚きました。
日本では、どちらかというと水槽の中の魚はあまり沢山入れないで鮮度を保つというようなタイプに思いますがチャガルチ市場ではとても売れるのか水槽の中の魚はいっぱいでした。
チャガルチ市場は活気があります。とても沢山の人が沢山の魚を買っていっている感じです。
私が住んでいた福岡の片田舎では有明海が近いこともあり、年配の女性がたまに道端で「アサリ」や「イカ」なんかを含めた簡単な海産物を売っていたりする事があるのですが
それに、とてもよく似たイメージです。
勝手な想像ですがこのチャガルチも、元々はそういう所で「私もあの人の隣で売ろう」というような人が集まってきて次第に市場という集合スタイルになったのではないかと思います。

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左の写真と真ん中の写真はチャガルチ市場で働いている女性達の昼食の風景です。
道端で会話を楽しみながら昼食を取ったり、さっとその場で食事をすませたりると言うのが一般的なようです。
真ん中の写真を見ていただければわかりますが韓国の文化として昼食もこのようにテーブルの真ん中にキムチを沢山置いて食事をするのです。
左は活気のあるお店。並んでいるものが日本の海産物とは似ていますが少し違いますね。 |
写真では新鮮な魚介類を売っているイメージが大きいと思います。
実際そうなのですが所々に「キムチ」を売っていたり「乾物」を売っていたり「包丁や刃物」を売っていたりする店舗もあります。
そして露店やテナントとは別にちょっとした屋根つきのお店もあります。
下の写真がそうです。

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パラソルや布屋根の奥に簡単な建物があるのがわかりますか? 木造構築の古い形の建物なのですが風通しがよくなるように工夫されて立てられているようです。
左の写真にある魚は日本でもよく見かける太刀魚ですね。 日本でもちょっと前まではよくこう言う光景を見たものです。
私も珍しいというよりは懐かしいという意味でとても楽しみながらチャガルチ市場を回りました。 |
キムはガイドがとても上手です。
私たちにいろんなポイントを教えてくれます。そしてしばらく歩いてキムと私たちも昼食をとる事にしました。
私たちの頭からは「カニ」のイメージが離れず、キムに「カニが食べたい」と申し出ました。
キムもカニが嫌いではないようです。
初日にきて生きたままのズワイガニやタラバガニを、いけすで買っている店に来ました。チャガルチ市場の入り口のところです。
テレビ等のレポーターが釜山を訪れると必ず映し出される映像の場所です。
私も知り合いもカニを食べたかったのでキムにカニをリクエストし安くしてもらえるように交渉してもらいました。
私たちがズワイと思っていたものは韓国ガニというもののようでその横にいる少し小さめな、いけすのカニは北朝鮮からのものとの事でした。
ちなみにタラバはロシア産。
日本では高級店以外、生きたままのカニを調理して食べられるところが少ないのにここではコレが普通なのかと嬉しくもあり悲しくもありキムに交渉してもらいました。
何でも150.000ウォンのフルコースが75.000ウォンでいいとの事で話がまとまり私たち3人はカニを選んで席につきました。 |

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チャガルチ市場で食事した店の名刺です。 |
最初に出てきたのが「あわびのおかゆ」です。でもあわびはあまり入っていなくてお詫び程度に少しだけ刻んだあわびが入っています。

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名前は知りませんが、コイツも調理されて出てきました。淡白です。
食べた事がある方にしか分からない表現なのですが
イソギンチャクの食感に似ていました。 |
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ちょっとした「お詫びのおかゆ」です。(笑い)
それと同時にキムチもきました。こんなところでもキムチが出るのかよ。
と驚きましたがまぁ韓国では肉関係でも、魚関係でも、普通の定食屋計でもそれが普通なのでしょう。
次に刺身や貝等が出てきました、貝はみたことのないものでした。ヤドカリみたいな感じのものをサザエのつぼ焼き風に
調理してありました。
甘エビも来ました。甘えびはちょっと新鮮さにかけるような気がしましたがまぁ許容範囲ということで。
次に日本では見たことのない小骨の多い大きな魚が塩焼きで出てきました。
なんだか最初は気味が悪かったのですが白身魚で食べたらおいしかったです。
日本の塩焼きなどと比べると、それほど塩気はなくて、どちらかというと素材の味を感じさせると言う感じです。
手元にあるご飯と共に食が進みました。
ここで書いておきますが韓国でのご飯は少々食べづらいです。
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なぜだかわかりませんが韓国の食器は鉄で出来ています。
かき氷を作るときに使うような丸い鉄の器です。そして箸も鉄です。
これ正直、熱くって不便です。牛田でも海金剛でもここでもそうでしたから多分韓国の文化としてこの鉄の食器があるのでしょう。
でも熱すぎて持てない時があります。
その頃、私の隣の席に日本人のややご年配のグループが座りました。私たちと同様に3人です。
そして同じようにフルコースを頼み、その上でお酒を1本頼まれました。
キムがそれを見ていてそっと耳打ちしてきました。
「あの人たち、きっと私たちの2倍くらいトラレルヨ」と。
そしてキムはトイレに行くと言ってそっと席を立ちました。
彼女が私に聞いて来ます。
「フルコースで75000ウォンだと3人で225.000ウォンでしょ。日本円で2万2千円よね。
あの人たちってその倍って事は4万円以上取られるの?」
私は「う〜ん、そうだなー、まぁ単純に言えばそうだろうと思う。キムが間違っているとも思えないし・・・・・・。」
そうしている間に「蟹」が来ました。
韓国物1匹と北朝鮮物1匹です。焼いてもらって運ばれてきた蟹は湯気が出ていていかにもおいしそうでした。香りだけでもおいしいというのがわかります。
そこにキムが戻ってきました。
「カニがキタね!!」
キムも蟹を好きそうでした。3人で2匹を分けあって食べましたが今までのフルコースである程度、胃に食べ物が入っていた為ちょうどいいくらいの量でした。
なんといってもその風味、味、香りと日本で食べる蟹とは少し違うようです。
日本で言うズワイガニをほんのちょっとだけ小さくしたような感じのカニなんですがなぜここまで
味が違うのでしょうか。
よく旅行に行くと気分が変わるために食べ物がおいしく感じると言う事はあると
思いますが昨日の「牛田」「海金剛」等の件があって私たちはより冷静な味を感じる事ができたと思いました。
正直、刺身、甘エビは今1つでしたがこのカニは韓国まで来て食べたかいがありました。
これでフルコースも終わりかと思って隣の席のご年配のグループを見るとちょうどカニが来ていました。
ご年配のグループから「これは旨い」という声が次々に出てきたのは言うまでもありません。
・・・・・・・・えっ何?
遠くからお店のおばさんがなにやら鍋を持って近づいてきます。
フルコースはまだまだ終わりではなかったのです。
まぁ日本でも今や有名になってしまったキムチチゲでした。
本場韓国のキムチチゲは辛いのですが甘みがあっておいしいというより「旨味」があるというような感じでした。
スープを口に入れた瞬間は辛いのですが次に甘みが来て、その後で確認するような辛さが再び来ます。
鍋の中を見たときは熱帯魚のアロワナのような魚が少し気味悪く思えましたが食べているとタンパクであっさりしていて旨いです。
なんか韓国に来て初めて「ご馳走」にありつけた気分でした。
私は心の中で「馳走になった」とまるで武士のような気持ちでキムに礼を言いました。心の中でです。
隣のご年配のグループも少しずつ鍋を食べています。
私はやっぱり金額が気になりました。
ガイドも何もつけず食事をしていた彼らと、私たちの差額というか。
そして少しだけ早く私たちが席を立ちました。
彼女の言葉
「フルコースで75000ウォンだと3人で225.000ウォンでしょ。日本円で2万2千円よね。
あの人たちってその倍って事は4万円以上取られるの?」
がちょっと気になりましたが会計を済ませるべくおばさんにお金を渡すときに「超」のつく驚く出来事が起こったのです。
なんとなんと3人で75000ウォンポッキリだったのです。
アレだけのコース料理を食べて日本円で1人2500円・・・・・・・?
彼女も驚いていました。
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日本でもおなじみの太刀魚。知ってる魚があるとちょっと安心します。 |
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タコも売っていました。新鮮で生です。韓国のタコ料理といえばタコキムチですが他にはどんな食べ方があるのかな。 |
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これはフグかアンコウのような感じですが亜種なのでしょうか。
韓国ではそこそこメジャーな魚のようで、よく並んでいました。 |
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エイのような感じの魚です。チャガルチでは写真のような生のタイプと、乾物として売られているものとがあるようでした。 |
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キムはニコニコしていました。その後でほぼ一緒くらいに席を立たれたご年配のグループはなんと190.000ウォンでした。
もともと150.000ウォンのフルコースを半額にしていただいていたのは知っていました。ご年配のお客さんたちはそれプラスお酒を1本飲まれて190.000ウォン。
キムの交渉力のおかげで私たちは大変なご馳走を安く食べられたわけです。
そして私たちはキムに感心しながらチャガルチ市場を奥の方へと歩いていったのでした。
市場の奥では大きなビルのような建物が建設中でした。

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右の写真の下のほうにパラソルがいくつも見えると思います。それがチャガルチ市場の露店のメインストリートです。
上の方の写真に写っていた露店なんかがこの下の通りで沢山の魚を売っているわけですね。 |
キムは「今ここで地面に簡単な建物を立てて魚を売っている人たちはミンナあの建物の中に入るコトにナルヨ。不衛生だから韓国では清潔にしようという動きがアルネ!」といいました。
そういえば昨日、ガイドのジョウさんも同じような事を言ってたっけ。
どうやらチャガルチ市場は何年も前から屋根だけしかないようなボロボロの店舗などで魚を売っているという光景があまり良くないと思われていたらしく、もっと他国からの観光客の為にイメージアップしたいという思いや不衛生なイメージを拭おうと言うような事が政治レベルで考えられていたようです。
私たちが2005/12に行った時にコンクリートの外壁ができていましたから、もしかしたらもうそろそろ、その大きな建物の中でおばあさん達が魚を売るときが来るのかも知れません。
個人的には、あの露店が楽しみで来る観光客も多いのにビルの中に入れてしまうとなると「風情」というか「情緒」というか、いい意味での文化的な香りが消えるようで少し、消えて欲しくないような気持ちもあります。
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