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主張救急救命士の業務拡大へ

公明新聞:2007年10月22日

「自己注射」(エピネフリン)の使用可能に

浜四津質問に答弁

 「涙が止まりません。録画してまた見ています。嬉しくて嬉しくて、感謝以外にありません」。16日の参院予算委員会の浜四津敏子代表代行の質問が終わった直後、救命用「エピネフリン自己注射」(製品名「エピペン」)の救急救命士による使用にようやく道が開けた論戦を、テレビ中継で見ていたお母さんから届いたメールだ。

 この日の質疑で浜四津代表代行が「『エピペン』は患者本人と家族にしか使用が認められていない。救急救命士の使用が可能になれば、どれだけ多くの命が救われるか分からない」と強く訴えたのに対し、舛添要一厚生労働相は「私もそれを見たが簡単にできる。そこで今、総務省消防庁と協議を開始していて、何とか救急救命士の業務の範囲内にこれを入れたい。早急に実現するよう頑張りたい」と応じた。それまでかたくなに拒んでいた方針の転換だった。困っている人を周囲にいる人が支える、そうした救急医療体制の構築へ向けた大きな一歩となった。

 本来なら栄養になるべき食物が逆に健康を損ない、時には命さえ奪う「食物アレルギー」。その中でも特に重い症状である「アナフィラキシーショック」では、30分以内に適切な処置がなされるかどうかで生死を分けることもある。公明党が強く主張し、日本では一昨年(2005年)4月、食物や薬物アレルギーによるアナフィラキシーに備え、いわゆるプレホスピタルケア、病院に着く前に使う治療薬として「エピネフリン自己注射」(製品名「エピペン」)が承認された。ただし「自己注射」なので本人と家族しか使えない条件だった。

 しかし、この「自己注射」が普及するに伴い、わが子に「自己注射」を処方されている保護者や医師から、いざ必要な時、例えば学校や幼稚園などで、小さな子がうまく使えない、親が駆け付けるのに時間がかかる、あるいは本人の意識が薄れていく状況では「駆け付けた救急救命士が打ってほしい」という強い要望が出されていた。常に命の危険にさらされる不安の中では当然のことだろう。救急救命士については昨年(2006年)4月から心臓・呼吸が停止している人に対するエピネフリンの静脈注射が可能になった。しかしアナフィラキシーショックでは、エピネフリンはそもそも心肺停止に陥らないように使う薬に位置付けられる。

 今春、文部科学省が発表した調査結果によると、食物アレルギーの児童・生徒は全国に約33万人、重いアナフィラキシー症状を起こす子は1万8300人いる。また(社)全国学校栄養士協議会などが行った調査によると、2002、03年度の2年間で、学校給食が原因でアレルギー症状を引き起こしたケースは637例、約50例がショック症状まで進んでいた。

 幸い調査期間中に亡くなった事例はなかったものの、過去には学校給食に出されたそばが原因で児童が死亡したケースも報告されている。調査を担当した医師は「発症数、重症度とも低くない」と警告しており、救急救命士が簡便な「エピペン」を本人・家族に代わって打つことができる体制の整備は喫緊の課題になっている。

誰もが使える日を

 大臣答弁を受け、救急救命士の使用へ準備が進められるが、国は患者・家族の不安が少しでも早く軽減されるよう作業を急いでほしい。その上で、次の段階では学校の先生、やがては誰もが使える環境整備が進むことを目指したい。

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