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2007年10月22日(月)

瑞浪の中2いじめ自殺から1年

「SOS、もう見逃さない」学校や地域、変わる意識

両親「娘の死、無駄にしないで」
写真:瑞浪の中2いじめ自殺から1年
1年たった今も生前のまま残されている女子生徒の自宅の学習机=瑞浪市内

 瑞浪市の瑞浪中学2年の女子生徒=当時(14)=がいじめを苦に自殺してから、23日で1年を迎える。この1年間、現場の教諭らは「彼女の死を無駄にしてはならない」と、いじめ自殺の再発防止に、細心の注意を払って取り組んでいる。また保護者らは学校だけの問題ではないと、子育て環境を見直し始めた。女子生徒の死を教訓に、学校や地域は変わろうとしている。

 女子生徒に対するいじめは、所属する部活内で同級生から「ウザイ、キモイ、死ね」と日常的に言われる、体に強くボールを当てられる、あいさつしても無視される―といったものだった。自殺の1週間前に母親が担任の教諭らに相談していたが、適切な指導は行われなかった。

 こうした問題を受けて、市教委は「いじめはどの学校にも必ずある。本人がいじめと感じたらそれはいじめである」と、いじめに対する共通認識を新たに設け、「いじめ防止手引き書」を作製、市内の小中学校などに配布、対応を徹底した。今年7月の県のいじめ調査では、市内で42件をいじめと認定し報告した。平林道博市教委事務局次長は「子どものSOSを見逃してはならない。いじめ根絶は難しいことだが、早期対応で一つ一つの解決は望める」と語る。

 ある市内の中学2年の女子生徒は「複数の友達から『向こうに行け』などと言われ、寂しい思いをした」と、日々の生活を振り返る生活ノートにつづった。担任が気付き、女子生徒と時間をかけて話をした。複数の生徒からも話を聞いた後、両者で話し合う機会を作った。互いの意見や思いを確認し合う中でわだかまりが解け生徒の悩みは解消した。「きっかけはささいなこと。放置しておけば、悪質ないじめに発展する可能性もある」と学校関係者は語る。

 また別の中学では不特定多数の生徒同士で、相手のジャージーのズボンを下げる遊びが流行した。学校ではすぐに学年集会を開き、「対象が1人に集中した場合、こうした悪ふざけがいじめにつながる可能性がある」と生徒らに訴えた。

 両校の教頭は「早い段階でいじめの芽を摘み取ることが大切。子どもの変化を見逃さないこと、そして迅速に対応することが重要」と話す。

 一方で瑞浪中学のPTAでは、授業参観後に学級懇談会を開き、保護者と教師との連携を図るよう努めているほか、いじめ自殺で息子を亡くした愛知県西尾市の大河内祥晴さんの講演会を開くなどして、子どもへの教育を見直す機会を作ってきた。同校のPTA会長は「いじめの要因は学校だけではない。親が愛情を持って育てることでいじめは減らせる。地域も変わらなければ」と語る。

 自殺した女子生徒の家には、彼女をしのんで多くの花束や手紙が届けられている。21日には1周忌法要も行われた。両親は「1年たった今も、気持ちは何も変わらない。なぜ娘が犠牲となったのか」と心境を語り、「学校と地域の両方が変わらないと、いじめはなくならない。娘が自らの死で訴えた『いじめをなくして』という思いを無駄にしてほしくない」と胸の内を語る。

 いじめ根絶の特効薬はないかもしれない。しかし、いじめによって大切な命を二度と失わないためにも、学校や地域における継続的な対応が、今後も求められている。

【瑞浪市の中学生いじめ自殺】

 昨年10月23日、瑞浪中学2年の女子生徒が部活動内でのいじめを苦にして、自宅で首をつって自殺した。自殺といじめの因果関係をめぐっては市教育委員会と学校の見解が二転三転。最終的に生徒を対象にした無記名アンケートによりいじめがあったと市教委、学校とも認めた。また今年8月には、岐阜地方法務局が女子生徒へのいじめを人権侵害と認め、当時の佐々木喜三夫校長に反省を促す「説示」を、後任の林達夫現校長と市教委に再発防止を求める「要請」の措置をそれぞれ行った。

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