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2007-10-22(月)
ライトノベルに不快を感じるとき。
『フルメタルパニック!』の最新刊『つどうメイク・マイ・デイ』の話。
美貌の男レナードに誘拐されたうえ求婚された少女千鳥かなめは、かれへの嫌悪感をこんなふうに語る。
「隣のクラスにね、すっごいキモい男子がいたわ。体重が一○○キロくらいあって、いつもフウフウ汗かいてて、しょっちゅうあたしとか色んな女子をニヤニヤしながら見てた。ストーカーみたいなこともしてたらしいし、監禁とかロリコンとかのやらしい本をたくさん持ってるなんて話も聞いたことがある。どこまで本当かは知らないけどね。とにかく、そういうタイプ。何考えてるのか全然わからない奴。……さて問題です。そのキモい男子と、あんた。どちらかと付き合わなきゃならなくなったとして、あたしはどちらを選ぶと思う?」
「聞いて驚きなさい。あたしは真剣にこの命題を一日かけて考えたんだけど――本当に分からないの。つまるところ、あんたとあのキモい男子の違いは、イケメンかブサイクか、ただそれだけなのよ(略)」
いやいやいやいや、全然違うだろ。
レナードはかなめを拉致監禁したいるけれど、その「キモい男子」は別に何もしていない。かれの罪はただ「キモい」ことだけだ。
で、かなめの言葉を分析してみると、その「キモさ」にはこんな理由があることになる。
・100キロくらい体重があって、いつもフウフウ汗かいてる。
・いつもいろんな女子をニヤニヤしながら見ている。
・ストーカーみたいなこともしてたらしい。
・監禁とかロリコンとかのやらしい本をたくさん持ってるなんて噂がある。えっと、ようするにかなめは、レナードに向けて「あんたはストーカーとかロリコンとかの疑惑がある100キロのデブと同レベルよ」といっているわけですよね。これ、めちゃくちゃしゃくにさわる言い草だと思うんだけれど、どう?
そりゃ、「キモい」ことに理由なんていらないですからね。「100キロもあっていつも汗かいてるデブってキモいよね」と思うことも彼女の自由。
「ねえ、あいつ、ストーカーみたいなことしているんだってさ。うわ、キモっ」と思うのも自由。
「やらしい本をいっぱい持っているらしいよ。キモいよね」とか「不細工な癖に笑うな。こっち見るな。キモいから」と思うことも自由だ。
じっさいの話、女性はそういう男ににやにや見つめられたら、気味が悪いと思う。とくにかなめさんは美少女ですからね、いつも汗をかいているデブなてさぞキモいことでしょう。
でも、容姿に、体重に、態度に、あてにならない噂、そういった、ひとつひとつ全く次元が異なっているはずのことを全部まとめて「キモい」でくくってしまうような感性が、ぼくは心底きらいだ。
そもそも、その「キモい男子」は、レナードと違って、かなめに告白したわけじゃない。それなのに、なぜ自分が選ぶ立場であることを前提にして考えているんだ? かなめの好感度、1ポイントダウン。
賀東さんはじっさいに100キロを超える読者もいるんだってこと考えなかったのかな。『フルメタ』はおもしろいけれど、時々、こういうところでひっかかるんだよね。
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