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2007年10月22日

 インターネット上にはびこる違法・有害情報の監視を強化するため、警察庁は民間企業などに助っ人を仰ぐ方針を決めた。お江戸の治安を守るために、銭形平次や半七に十手、捕り縄を与えたという筋書きに似る

陰湿ないじめや人の命を軽んずる犯罪が絶えない昨今である。その多くがネットの有害情報などと、かかわりをもっている。この際、平成の平次や半七の手も借りてでも、世の悪を断固退治しなければなるまい

とはいえ、ワルのタネが尽きない世の中である。あの清水次郎長が関所破りをしたという門が加賀市に残っている。刃傷ざたを起こした次郎長が北陸路へ逃亡、大聖寺藩の関所で追及を受けた。一行は、巧みに山中に姿をくらませたが、あいにく親分は痔(じ)の痛みに襲われた。仕方なく、子分の大政に背負われて逃げのびたという。時代劇の英雄のぶざまな一幕である

ネット上のウイルス侵入と撃退は、イタチごっこを繰り返している。有害情報の捕物も、関所破り相手の根気のいる仕事に違いない

そうであっても、やらねばならぬ捕物である。便利なだけでは済まぬ「文明の利器」が突きつける、重い宿題である。


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