インタビュー2007年07月26日 17時47分 更新
回転2軸端末をスマートに見せたい──「W52SA」、インゴットデザインへのこだわりともすると似たようなデザインになりがちな、回転2軸携帯。「W52SA」が目指したのは、インゴットをイメージしたフラットでかたまり感のあるデザインだ。スリムな中に機能が密に詰まっていることを、デザインで表現したかったという。爽やかなライトブルー、差し色のない黒1色のフィールブラック、柔らかな光を放つクラスターシルバー──。この3色のカラーバリエーションで登場したのが三洋電機製のワンセグケータイ「W52SA」だ。 直線的なボディラインのW52SAは、メインターゲットを男性に設定。3色それぞれに異なる質感の塗装を施して高級感を持たせ、斜めにカットした端末先端部を鏡面仕上げにすることで、さりげない遊び心を表現した。 “機能とデザインのバランス”で端末を選ぶユーザーが増える中、W52SAはどんなコンセプトを軸に開発されたのか。三洋電機の開発陣に、デザインへのこだわりについて聞いた。 なぜ、“インゴットデザイン”なのかW52SAは、「インゴット」(金属の塊)をデザインのキーワードとした端末。そこには、「(回転)2軸らしくない、1つの塊のような端末に仕上げたい」という思いがあったとデザインを担当した北村和生氏は振り返る。 「一見して2軸だとと分かるデザインが多い中、三洋電機では、KDDI初のワンセグ機『W33SA』を開発したときから、“2軸ながら一体感のあるデザイン”にこだわってきた。W52SAはその正統進化を目指したもの。より洗練された端末に仕上げるため、スリム化とスクエアデザインにこだわった」(北村氏) 初代ワンセグモデルのW33SAは、サイドに割線があったり部品が重なっていたりして、隙間が大きく見えていたと北村氏。当時は少しでも厚く見えないように、小さい枠を作って視覚的な補正効果を狙うなどの工夫を施したという。新モデルのW52SAでは、厚さ18.7ミリのスリムなボディを実現しながら、部品の接合部を可能な限り減らすとともに、線を極力見えない位置にレイアウトすることで1つの塊のように見せている。また、直線的なボディの先端部を斜めにカットし、多面構造にすることでデザインに変化を持たせた。 この先端部には赤外線ポートが装備され、それを隠しているのも工夫の1つだ。クラスターシルバーとライトブルーの先端部は、薄い金属の膜を何重にも重ねる多層蒸着を採用し、鏡のような輝きがアクセントになっている。 「多層蒸着はもともとスキーなどのゴーグル用に、紫外線をカットする用途で開発された技術。赤外線だけ通すようにする手法をメガネ業界の方が開発し、携帯電話に利用できないかと提案してくれた。このキラキラ光るテイストは、質感が異なる切り口”の表現に合っており、赤外線ポートを隠しながら、デザイン的なアクセントにもなっている」(北村氏) ボディカラーごとに異なる質感W52SAは、各色のボディを異なる質感で仕上げたのも特徴の1つ。つややかに光るライトブルー、しっとりした手触りのフィールブラック、つや消し仕上げのクラスターシルバーといった具合だ。 開発時には「マテリアルコントラスト」「サイレントウェーブ」「ピースモーメント」という3つをコンセプトに据え、端末の持つ雰囲気や素材選びを行ったという。「ラバーと金属、透明感と金属感のコントラスト、おだやかで淡い表現のカラー、とがったヴィヴィッドな感覚──こうした要素をそれぞれの端末に反映した。「それぞれが異なる雰囲気を持ちながら、その中にしっかりとインゴットというベースが息づいている」(横田氏) フィールブラックはさらっとした手触りのソフトフィール塗装を採用したのが特徴だ。「上質な黒、黒のかっこよさを追求した」(北村氏)。ボディを覆う黒はつや消しに、ヒンジ部の黒はつややかな蒸着仕上げにすることで、黒一色のボディながらメリハリのあるデザインになっている。 クラスターシルバーは、シルキーな光を放つようパールとアルミを薄く塗り重ねたスリーコート塗装。「ホワイトシルバーと青みのあるシルバーを組みあわせた上質感のある色。赤外線ポート部分がキラっと光るアクセントは、コンサバティブな人にも受け入れてもらえるのではないか」 ライトブルーの塗装は、シルバーがかったブルーを敷き、上から薄くカラーの入ったクリアな色を塗ることで透明感がある鮮やかな色を表現した。ヒンジ部は、金属を蒸着しながらアンテナ性能に影響しない「不連続蒸着」を使い、クリア感と金属感を兼ね備えるデザインに仕上げた。「ヒンジ部は、蒸着した上に少し青みが入ったクリア塗装を施しており、よく見ると青いのが分かる。それで全体のまとまり感を出している」(北村氏) 細部に至るまで見え方や使いやすさに配慮デザインと使いやすさへのこだわりは、細部にまで及んでいる。ワンセグ用アンテナにはアルミを採用し、細かいパーツながら丈夫な素材にすることでアンテナ収納部にすっきり収まるようにした。環境光に合わせてディスプレイの輝度を自動調整する調光センサーも、目立たないようにスピーカー部のデザインにとけ込むようにレイアウトしている。 ワンセグ機能は、ディスプレイを表にして回転させると自動で起動するように設定でき、ディスプレイを表にしたまま充電台に置くとワンセグが自動起動する設定も用意した。 三洋電機製au端末として初めてワイドディスプレイを搭載したことから、メニュー画面にもこだわった。「縦に長くなった分、表示もダイナミックになった。それを生かすデザインを考えた」(嶋津氏)。プリセットメニューの「キャッチ&ドロップ」は、各機能のアイコンが上から下へと落ちる様子で画面のワイド感を表現したという。 携帯機能の共通化が進む中、メーカーが端末の差別化ポイントを打ち出すのが難しくなってきているが、三洋電機では「ユーザーインタフェースなど、いつも使っている部分を進化させるのも差別化なのではないか」(山崎氏)と考えているという。「新しい要素技術を取り入れるモデルもあるが、通常モデルのあたりまえ品質のところを上げていくことも重要だと思っている」(山崎氏)。 関連記事
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