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日露関係 専門家に聞く「領土問題…最低の状態」

10月21日8時0分配信 産経新聞


 ■日本側のロビー活動必要

 ロシアでは日本食や日本映画といった文化面での関心は高いが、外交面ではプーチン大統領が北方領土問題で厳しい発言を繰り返すなど日露関係は冷え切っている。こうしたなか、ラブロフ外相が23日に来日、高村正彦外相はじめ政界、経済界の要人と会談する。一連の会談でも議題は経済問題が中心となりそうだ。来年3月の大統領選を前に、2000年から7年半のプーチン政権下での日露関係の評価と今後の対応について、日露3人の専門家に話を聞いた。

 ■領土問題

 国際日本文化研究センターの木村汎・名誉教授は、05年9月に、プーチン大統領が「4島に対するロシアの主権は第二次大戦の結果で国際法によって確定された。交渉する意思は一切ない」と発言したことをあげ、「現在の日露関係は最低水準にある」と位置づけた。そのうえで「プーチン大統領は『領土保全』を第一義に掲げる大国主義の確信犯。この問答無用の態度はソビエト時代へと先祖がえりをとげるものだ」と批判した。

 起訴休職外務事務官、佐藤優氏も現在の日露関係は「東西冷戦終結後、最低の状態にある」という。「05年のプーチン大統領来日では北方領土に関する合意文書さえ作成されなかった。昨年は北方領土海域で漁民が銃撃を受けて亡くなったほか、バナナのたたき売りのように領土2分割論や3島返還論などの妥協案が噴出。日本の外交能力の地盤沈下が起こってしまった」と、対露外交の不全ぶりを指摘した。

 ■経済協力

 在日経験の長いイタル・タス通信のワシーリー・ゴロブニン東京支局長は「日露双方の政界で、領土問題解決のための関心は薄れている」との認識を示しながらも、「だからといって、日露関係の悪化を意味しない」と楽観的だ。同氏は「ロシアの経済発展にあわせて日本企業はロシアに対する投資を活発化させ、資源開発分野でも協力が進んでいる。日露の経済活動がようやく、多国間に見られるような自然な状態になったことは評価できる」

 一方、木村氏は03年に合意した貿易経済分野の協力や文化交流の進展を盛り込んだ「日露行動計画」について、「ロシア側の好む分野の協力だけを、いいとこ取りされる危険に対し歯止めをかけていない。太平洋パイプラインの熱心な誘致に見られるように、日本が島よりエネルギーを優先する国との印象を作り出したことは失態だった」と述べ、日本政府の対応を批判した。

 ■関係改善

 日露関係の打開策については、ゴロブニン、佐藤両氏がそろってロシア政界での日本側のロビー活動の重要性を指摘している。ゴロブニン氏は「中国に比べ、日本はロシア政界とのパイプが細い。ロシア政界に日本ロビーが誕生すれば、質的な発展に結びつくはず」という。佐藤氏も「来年の大統領選後も権力の中心にプーチンがいることは明らか。北方4島は日本領であるという原則を堅持しつつ、プーチン側近に食い込むようなロビー活動を展開させなくてはならない」と述べた。

 これに対し、木村氏は「ロシアはエネルギー大国から脱し、機械、IT産業への移行を図る産業構造転換を唱えている。日本をモデルと仰ぎ、協力を必要としている」と分析。今後の対応について「毅然(きぜん)として4島返還要求を堅持する限り、ロシア側からすり寄ってくる時期が訪れるに違いない」として原則を守る必要性を強調した。

最終更新:10月21日8時0分

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