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JA広島厚生連、不足の助産師を積極養成へ '07/10/21

 ▽資格取得支援制度を強化

 全国的に助産師が不足する中、広島県厚生農業協同組合連合会(広島市中区、JA広島厚生連)は来年四月から、系列病院の看護師が休職して助産師資格を取得する間、支給する給与を増額し、取得を促進する。系列病院の一つ、JA広島総合病院(廿日市市)は助産師不足のため今春から分娩(ぶんべん)の受け入れ制限を始めており、制度の変更を決めた。厚生労働省は「病院自らが、制度充実で助産師の資格取得を促すケースは初めて聞いた」(看護課)としている。

 助産師は、妊娠や出産などのサポートやケアなど、助産や新生児の保健指導に当たる。資格取得を目指す看護師は一年間休職して、専門の学校に通う必要がある。

 JA広島厚生連は、系列四病院の看護師を対象に、休職期間中の給与のうち、基本給の半額を支給しているが、来年四月からは、現在より約三割多い三分の二まで支給を増額する。

 JA広島厚生連の系列病院は広島、尾道(尾道市)、府中(府中市)、吉田(安芸高田市)の各JA総合病院。出産ができる産科があるのは広島と尾道の二病院だが、同制度は全病院で利用できる。しかし、利用者は最近、ゼロが続いていた。

 助産師不足が続く中、助産師の専門学校への求人やホームページでの募集をしたが、集まらないため、制度の見直しに踏み切った。新制度では、年間三、四人が利用すると期待し、年間費用は総額約七百五十万〜一千万円を見込む。

 系列のJA広島総合病院では三月末、助産師十三人のうち五人が退職。同病院は救急対応が必要な異常分娩などを担う高度医療機関で、リスクの高い妊婦を受け入れる態勢を維持するため二月から、正常分娩の受け入れ制限を始めた。四月に新人二人を採用し、系列病院から二人の応援派遣も受け十二人体制になったが、制限は続いている。

 同病院は、来年四月に採用予定の新人看護師五十六人に新制度の利用を呼び掛け、うち三人が応じたという。現役の看護師にも資格取得を呼び掛けている。藤田照美看護部長は「助産師を自前で育て、分娩制限を早く解除したい」と話す。日本助産師会(東京都)の大関ミヨ子事務局次長は「助産師不足の中、こうした取り組みが全国的にも広がってほしい」と期待している。(鈴中直美)

 ●助産師

 全国の就業者数は昨年12月末で2万5775人。国家試験が必要で、受験資格は、看護師が1年間養成所に通うか、4年制の看護系大学で半年以上の教育課程を修了した人に与えられる。厚生労働省によると、中国地方の医療機関などでの需要人数は2010年に1752人になると見られる一方で、供給人数は1666人で86人が不足すると予想。

【写真説明】新生児室で、赤ちゃんの母親(左)に着替えの方法などを指導する助産師(廿日市市のJA広島総合病院)




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