「いじめ担当グループ」を新設した小野市が今年五月、市内の小中学生約三千人にいじめの実態を調査したところ、26%(約七百九十人)が「前の学年でいじめられた」と回答したことが二十一日までに分かった。文部科学省の基準で市教委が県に報告したのは二〇〇六年度が二十七件で、市は「想像以上にいじめが広がっている」と事態を重視。県内初となる「いじめ防止条例」などを近く提案し、市民とともにいじめの追放に乗り出す。(金井恒幸)
市によると、いじめが起きやすい小学四年-中学三年の全員(三千九十八人)を対象に、無記名のアンケートを行い、97%から回答を得た。
〇六年度のいじめ経験者は、小学生が34%、中学生で18%に上った。「どんなことをされたか」(複数回答可)は、「悪口」「暴力」「仲間はずれ」などの順で計千三百四十四件あった。
いじめが「今も続いている」としたのは小学生22%、中学生9%。高学年になるほど減少傾向だが、中学三年でも5%が「今もある」と答えた。
メールでの悪口や性的ないじめを受けたなどと答えた二百四十人を、市は「深刻な状況」と判断し、学校側に早急な対応を依頼した。
条例案は、いじめが人権侵害の中でも最も重要な問題と規定。学校など関係機関がいじめの情報を定期的に収集し、早急に対処するシステムを義務化する方針。学校や保護者、市民らの果たすべき役割なども明記したいという。
神戸の私立学校での自殺を踏まえ、ネットでの悪口の書き込みなどにも具体的な防止策を盛り込みたい考え。
文科省児童生徒課は「いじめ防止に絞った条例は、全国的に聞いたことはない」としている。
教師と認識にズレ 兵庫教育大学の冨永良喜教授(54)=臨床心理学=の話
いじめ経験者が26%あるのは、「悪口」が日常茶飯事になっているためではないか。不登校など行動が変化した時にしか教師はいじめとして把握できず、子どもと認識の差ができてしまうのだろう。