奈良

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録 Yahoo!ブックマークに登録
この記事を印刷
印刷

橿原市政の課題:市長選を前に/下 搬送中の妊婦死産 /奈良

 ◇再発防止へ取り組み

 今年8月、橿原市の妊婦(38)の受け入れ先の病院探しが難航し、救急車で搬送中に死産した。妊婦には、かかりつけ医がいなかった。危険度の高い妊婦の搬送先を探す県のネットワークは、病院などからの転送が前提だったため、このケースでは実態として機能しなかった。周産期医療体制の整備は、県が中心になって進めているが、橿原市の取り組みも改善を迫られている。

 妊婦は、妊娠期間中に14回程度の健診が必要で、市は従来1回分の費用を負担してきた。今年度からは3回に増やしているが、厚生労働省は「経済的な理由で受診をあきらめないためには5回程度の公費負担が必要」とする。市健康増進課は「増やしたいが、1回増やすのに700~800万円かかり、他の事業との兼ね合いもある」と話す。今後、利用状況などを見て検討するという。

 死産した妊婦は、妊娠した場合に市に提出する「妊娠届出書」も未提出だった。市は届け出と引き換えに健診の無料券や母子手帳を交付。届け出の窓口を保健師がいる健康増進課にも設け、妊婦の不安や悩み相談に応じてきた。届け出がなければ、行政の手は差し伸べられない。市は「届け出てもらうには、本人の自覚を促すしかない」と思春期の高校生を対象としたセミナーの充実などを検討。すべての人にかかりつけ医を持ってもらうようチラシなどでPRを始めた。

 かかりつけ医不在の問題は、妊婦に限ったことではない。市は今年度から、休日夜間応急診療所の診療時間を延長、小児科では平日夜間の診療を午前6時までと充実させた。診療所は、明日香村と高取町から負担金をもらい、市が運営している。近年、桜井市や大淀町などからの患者が増え、ここ数年は他市町村の患者が4割近くに達した。年間約1億円を橿原市民の税金で負担している。

 患者のニーズに応え、中南和の拠点として整備するには市単独では不可能だ。辻岡章裕・健康増進課長は「診療所がコンビニ化すれば、急を要する患者に待ってもらうことになる。病院が開いている時間に、かかりつけ医を利用してほしい」と訴える。【林由紀子】

毎日新聞 2007年10月21日

奈良 アーカイブ一覧

ニュースセレクト一覧

  • 松坂大輔が悲壮な決意
  • ゴマキ弟「ユウキ」は…
  • ファミコンの終幕に時東ぁみ
  • しょこたん初コンサート!
  • 漫才Gで小学生兄弟が予選突破
  • 中山竹通氏の長男にWの期待

エンターテイメント一覧

ライフスタイル一覧

 


おすすめ情報