目薬のさしかたQ&A

橋本眼科医院
院長 橋本 雅晶

Q1 正しい点眼方法と手順は?
A1 1)手を洗う(方が望ましい)。
2)下眼瞼を引き下げる。(漏斗状にするとはいりやすい)図参照
3)上を向いて点眼瓶から1滴垂らす。この際点眼瓶の先が睫毛や眼瞼に触れないようにする。     
4)溢れた点眼液を拭き取る。(眼瞼の接触性皮膚炎を予防するため)

Q2 暴れる子供に点眼するコツは何か

馬乗り法         プロレス法

A2 睡眠中にこっそりさす手は有るが、図のような方法がお勧め。
号泣中は点眼前の涙を必ずふき取ってから点眼
する事。(涙によって点眼液がこぼれたり希釈されたりする)

Q3 一度に数滴点眼したらどうなるのか
A3 無意味で不経済、そして接触性眼瞼皮膚炎を誘発することがある。結膜嚢(眼瞼と眼球の間の空間)には30マイクロリットルの容量があり、7μlの涙液が入っている。点眼液の1滴は30-50μlであるから上手に1滴点眼しても溢れ出る寸前である。2滴点眼は不可能

Q4 2種類以上の点眼薬を点眼する時はどうすればいいのか。
A4 順不同だが最低3分以上間隔を空けて点眼する事。
たて続けに点眼すると先にさした薬剤が吸収される前に次の薬剤で押し出されて効果が弱まる。

Q5 目薬がしみるが大丈夫か
A5 しみる目薬があるのは事実だが、医者の指示どおり点眼してほしい。良薬口に苦し。

Q6 コンタクトレンズを装用したまま点眼していいか
A6 私の場合、ハードと使い捨てソフトは点眼可通常ソフトはレンズの寿命を縮めるので点眼不可と指導している。
PL法の絡みもあり製薬会社もレンズ会社もこの問題には及び腰。原則論を振りかざすだけ。
公式見解は、酸素非透過性のハードコンタクトレンズ(数十年前の粗悪な旧製品で現在ほとんど流通していない)以外では原則的に禁止との事。レンズの処方医と良く相談してほしい。

Q7 目薬で全身的副作用が生じることは無いのか
A7 内服薬の場合腸管から吸収された有効成分の大半は肝臓で不活化(破壊)され血液に溶け全身を循環する。点眼薬の場合は極微量であっても大半がそのまま鼻や喉に流れこみ粘膜から吸収され不活化されることなく全身に移行するため重篤な副作用も起こりうる。
例えば、緑内障のベーターブロッカーの場合,気管支喘息・心不全・精 神症状などが生じうる。

Q8 目薬は瓶に刻印してある使用期限まで使えるのか
A8 刻印された日時は未使用の状態での有効期限。開封したら1ヶ月程度で使い切ってほしい