巡視員が女児にいたずら 制服姿で下校時狙う 仙台
子どもの見守り活動に向かう途中で女子児童にいたずらしたとして、仙台南署は19日、強制わいせつの疑いで、仙台市太白区四郎丸、市委嘱の学校ボランティア防犯巡視員で無職相沢新太郎容疑者(66)を逮捕した。
調べでは、相沢容疑者は18日午後3時半ごろ、太白区内で下校途中の小学6年女児(12)に声を掛け、人目につきにくいアパート敷地に誘って体を触るなどした疑い。容疑を認めているという。
ボランティアの制服になっている黄色のジャンパーを着用。名札も着けて軽乗用車を運転しながら女児に近づいた。逃げ帰った女児が母親に相談し、両親が18日夜、同署に被害届を出した。
仙台市教委などによると、相沢容疑者は市が学校ボランティア防犯巡視員制度を始めた2005年度から委嘱を受け、週2回、登下校時の巡視に当たっていた。活動熱心で、子どもたちにも人気があったという。
女児の通う小学校のPTAは今年4月、児童生徒の健全育成に長年貢献したとして、相沢容疑者に会長名の感謝状を贈っていた。
PTA会長は「20年ほど前から、地元中学校の健全育成活動のリーダー的存在で、非行少年の更生に熱心だったと聞いていた」と話す一方、「保護者の中には『子どもにべたべたしすぎでは』と指摘する声もあった。(犯行が)事実とすれば許せない」と怒りをあらわにした。
◎「誰を信用したら…」 言葉を失う学校、保護者
子どもの安全を守る立場の防犯ボランティアが女児に対する強制わいせつ容疑で逮捕され、学校関係者に大きな衝撃が広がった。児童の見守り活動に向かう途中の犯行だけに、保護者らは言葉を失った。「誰を信用したらいいのか」。防犯巡視員活動への信頼を大きく損なう事態に、19日夜、緊急会見した仙台市教委幹部は戸惑いを隠せなかった。
市教委によると、学校ボランティア防犯巡視員は校長の推薦を受け、市が委嘱する。本年度は市内すべての小中学校で約7500人が活動。これまで「トラブルや苦情が寄せられたことはない」(教育相談課)という。
市教委は「子どもの安全を守るため、ボランティアの活動をさらに広めようと考え始めた直後のことだった」と説明する。
荒井崇教育長は「地域で信頼される人を巡視員に募ってきており、逮捕者が出たことは遺憾。児童が動揺しないよう配慮するとともに再発防止に取り組む」とのコメントを出した。
だが、再発防止の具体策となると、課題は多い。西城正美学校教育部長は「人選を厳しくすれば、担い手が不足するかもしれない。地域のボランティア活動が縮小することのないようにしたい」と苦渋の表情で語った。
児童を狙った犯罪が後を絶たず、巡視員制度は不審者対策の一環として導入された経緯がある。女児が通う小学校のPTA役員は「ボランティアの巡視員制度がなくなるのは困る。女性だけで活動するのも無理がある。どうすればいいのか」と困惑している。