【ワシントン共同】代表的な抗生物質が効かないメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に全米で2005年に感染したのは約9万4000人で、そのうち約1万8600人が死亡したとの推計を米疾病対策センター(CDC)がまとめ、米医師会雑誌(電子版)に16日発表した。
日本を含め先進国で感染拡大が問題になっている薬剤耐性菌での推計は全米で初めて。医療関係者は「05年の米国内のエイズ感染による死者数約1万7000人を上回る」と警戒を強めている。
CDCによると、東部都市圏や西部海岸地方など、全米を代表する9地域でMRSA感染者数と死者数を調査し、人口や年齢層、人種構成などを加味して統計処理した。細菌が傷口などを通じ体内に侵入したケースだけを計上し、皮膚表面だけの感染は除外した。
その結果、感染は人口10万人当たり31.8人、死者は同6.3人となった。院内感染を含め、医療施設での感染が約85%を占め、病院外で広がる「市中型」も約15%あった。
CDCの担当者は「MRSAは予想以上にまん延しており、医療施設は感染防止をより重視すべきだ」と指摘している。
毎日新聞 2007年10月21日 東京朝刊
10月21日 | MRSA:耐性菌で死者約2万人 |