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論説
少子化対策/財源確保に国民合意を
掲載日:2007-10-20 12:25:00

 日本農業新聞くらし面は今月、企画「大家族の魅力」を連載した。3家族が登場し、その一人、高知県四万十市で副市長を務める中平正宏さんは、地域が持続的に発展し、活性化するためには子どもが大事で、産み、育てる環境をつくるには地域ぐるみの支援が必要、と指摘した。子どもを健やかに育てるのは家族だが、その家族をどう政策的に支えるかが重要になっている。

 厚生労働省の人口動態統計で、1人の女性が一生の間に産む子どもの数(合計特殊出生率)は2006年で1.32。一方、国立社会保障・人口問題研究所が05年に実施した出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)では、未婚男女が希望する子どもの数は2人以上だ。少子化は必ずしも国民が望んだ結果ではない。産み、育てられない現状がある。

 国は1990年代の半ばから、少子化対策に力を入れてきた。出産後も仕事を続けられる環境や保育環境の整備など、少子化社会対策大綱や子ども・子育て応援プランなどに基づく政策を進める。取り組みは間違っていないが、結果として効果は上がらない。

 国民総参加で子育てに優しい社会づくりを目指す「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議は、2007年6月に中間報告をまとめた。検討では、家族政策関連の支出規模も論議された。少子化の流れを変えるには、対策を着実に進める財源の確保がなくては難しいからだ。

 重点戦略検討会議によると、家族政策関連支出の規模は経済協力開発機構(OECD)の統計によると日本が国内総生産(GDP)比0.75%に対し、欧州各国はおおむね2〜3%。中でも合計特殊出生率が2.0に回復し、少子化対策の成功例とされるフランスは3.02%だ。フランスの支出は、単純計算で日本の約4倍に当たる。

 また、フランスの事例を日本にあてはめて試算したところ、10兆6000億円になった。日本の07年度少子化社会対策関係予算の総額は約1兆5000億円。ただ、フランスは財源のうち国民負担率が6割あり、家族政策の給付総額の5割は企業が負担するという。

 子どもを産むことは個人の選択で、出産の数値目標などあってはならない。しかし、産みたい人が安心して産める社会にすることは重要だ。少子化対策を実効性のあるものにするには、財源確保への国民合意が不可欠になる。

 国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」(06年12月)では、合計特殊出生率1.26という仮定に基づいて推計した結果、2055年の総人口は8993万人で、65歳以上の人口は4割を超える。一層の人口減少、高齢化が進む見通しの中、国は将来を見据えて、財源確保について真剣に検討する必要がある。

田園立国
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