
所属先の米研究所の職務停止、人種差別的発言の著名博士
2007.10.20
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15:57
JST
- CNN
ロンドン(CNN) 「黒人は白人よりも知性が劣る」とも受け止められる人種差別的発言をした米ノーベル賞科学者、ジェームズ・ワトソン博士(79)が所属する米ニューヨークの「コールド・スプリング・ハーバー研究所」の理事会は19日、今回の論議の調査の間、博士の運営責任者としての職務を停止させるとの決定を下した。
博士は同研究所を約40年間にわたって率いている。博士は18日、発言は恥ずべきものだったと謝罪している。
ワトソン博士は新著「Avoid Boring People: Lessons from a Life in Science」の宣伝で17日から英国を訪問。科学博物館で19日に講演した後、英国各地でサイン会などを開く予定だったが、これも中止となった。博士は既に帰国したという。
同科学博物館は17日、講演のキャンセルを発表している。問題の発言は英国入りする前、地元紙の取材を受け、述べていた。
博士はこの中で「アフリカに対する見通しは、本質的に悲観している」とし、「すべての社会政策は、彼らの知性が我々と同等であるという事実に基づいて行われているが、あの土地で出てきた結果はすべて、これが真実ではないことを示している」「黒人の従業員を雇う人々は、(人々は等しいということが)真実ではないと分かっている」などと語っていた。
博士はただ、謝罪の中で「私の発言として報道されたようなことを、どうやったら私が言えるのか、理解できない」と曲解されて報道されたことを主張。「あれを読んだ人々がどのように反応するか、はっきりと分かる」として、「私の言葉から、アフリカという大陸が遺伝的に何らかの形で劣っているとの考えに達した人々に対して、率直に謝罪する。あれは、そういった意味ではなかった。さらに、そういった考えには科学的根拠がない」と弁明していた。
博士は1962年、デオキシリボ核酸(DNA)の二重らせん構造の発見でノーベル医学・生理学賞を受賞している。