西胆振医療圏の救急医療、周産期医療の現状把握を目的に、6市町の行政と救急医療を担う7病院、3消防本部が一堂に会した初の西胆振医療圏関係者会議が19日、室蘭市東町の市保健センターで開かれた。「現状維持が精いっぱい」「医師が疲へいしている」と、医師不足や日鋼記念病院の診療機能低下による影響が報告され、出席者はあらためて危機感を抱いていた。
全国的な医師不足は西胆振も同様で総合病院などの一部診療科に影響が出ている。地域の基幹病院である日鋼記念病院の診療機能の低下と法人人事に伴う相次ぐ医師退職などが、西胆振医療圏全体に影響を見せている。
行政は室蘭、登別、伊達3市と豊浦、壮瞥、洞爺湖3町の保健担当部長・課長、病院は市立室蘭総合病院、日鋼記念病院、新日鉄室蘭総合病院、大川原脳神経外科病院、登別厚生年金病院、伊達赤十字病院、協会洞爺病院の事務長、消防は室蘭、登別、西胆振消防事務組合の消防長、室蘭保健所の計18人が出席した。
会議では各病院が各診療科の医師数を報告。「12月末には消化器科が1人減」(登別厚生)「整形が今月20日に1人減」(洞爺)「血液、リウマチ、内科の医師3人が退職予定」(日鋼)と医師不足の見通しが示唆された。
救急医療、周産期医療については「救急は当直体制がつらくなってきており、分べんに関しても限界の状態」(市立室蘭)「分べんは常勤医1人で毎日のように夜中も起こされている状況で増加している」(新日鉄)「救急は開業医の協力体制があるが、産婦人科は増員が必要」(伊達)など窮状を説明した。
消防は「全搬送件数は減っているが、日鋼への減少が他病院へ回っている。産科では札幌や函館など管外が増え、室蘭だと救急車3台のうち1台が管外に出る時間が生じている」と、日鋼病院の診療機能低下が他病院に影響を及ぼしているデータを紹介した。
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