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capsule (カプセル) 中田ヤスタカ インタビューSugerless GiRL

traksy staff

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音楽はもちろん、ファッションやデザインの世界をも巻き込んで、シーンへ新たな提案をし続けるポップユニットcapsule。彼らのニューアルバム『Sugarless GiRL』が2月21日にCDリリース・配信開始された。前作『FRUITS CLiPPER』で見せたクラブサウンドへの大胆なシフトチェンジから9ヶ月、更にハードに、そして更に魅力的になったニューアルバムについて、capsuleのプロデュースとソングライティングの全てを担当する中田ヤスタカさんに話を伺った。


■ ニューアルバムの『Sugarless GiRL』は、前作から顕著になったクラブ的なサウンドを更に押し進めたように思います。これは前作の延長線上にある作品という感じなのですか?それとも何か新たなコンセプトがあったのでしょうか?

FRUITS CLiPPER』ほど“変化を楽しむ”ということは考えてなかったですね。『FRUITS CLiPPER』以前からもエレクトロっぽい曲は実験的に作っていて、そういった曲をクラブでDJをしている時に海外のものとかと混ぜてかけたりしていたんです。そういう曲がリスナーに受け入れられるのかが若干不安だったからなんですけど、かけているうちに、(フロアの反応から)なにか「次に行く勢い」みたいなものを感じた瞬間があって、その勢いを一気にやってしまおうと思ったのが『FRUITS CLiPPER』ですね。ただ、最近はこういう音楽も普通になってきていると思うので、『Sugarless GiRL』は自然に作ったアルバムという感じです。

■ クラブでリスナーの反応を窺ったという話もそうなのですが、フロアの反応が良いということや、そういう場所で楽しく聴けるということが、現在楽曲を制作するポイントとして大きなウェイトを占めているのですか?

そこまでフロアありきなものではないですけど、ただ「良い曲だね」と身に染みるような感じよりも……攻撃に近いというか、「DJブースからマシンガンを撃つ」くらいの感覚でやってた方がみんな楽しそうにしてるんですよ。

■ 「マシンガンを撃つ」というところにも話が通じるかと思うのですけど、今回は「媚びてない音だな」という感じがしました。
自分が作りたいと思ったものを、どうやったらみんなが良いと思ってくれるかな?ということをやってるだけです。音楽を聴くリスナーの人達が「聴きたい」と 思っているものをマーケティングして作ってもつまんないし、そもそも世の中そんな音楽ばっかりだし。自分がおもしろいと思えることをやったうえで、結果的 に「格好良い」と思ってもらえることの方が楽しいかなと。「こういう音が喜ばれるばず」って考えて応えて作る音楽はなんかあまりにも商売な感じで。本当に 聴く人が喜ぶ音楽はそうじゃないと願いたいです。まあ、理想論なんですけど(笑)。

■ 今回はハウス/エレクトロやディスコ・パンクといった要素とともに、80年代的な要素も多く見受けられますね。この辺りは何か意図があるのでしょうか?

音楽シーンには波があると思うんですけど、コード進行だとか演奏技術だとか、音楽が複雑で技巧的であるような雰囲気が良しとされるのがある時代における波 だとすると、今はもう少しソリッドな方が良いというか、“難しそうではないんだけど簡単には出せない音”がおもしろくて、音楽の構造がどうこうではなく て、「ジャーン」と鳴った時の音の格好良さ、つまり、その音自体の雰囲気の格好良さを出すことって日本の打ち込み音楽をやっている人達は性格的に苦手だと 思うんですよ。音楽を知識で聴く感じ。そう考えると80年代のエッジ感みたいなものの良い部分を今の感覚と空気感で出すことって難しそうだから面白くて。 だから、そういう音をあえてやるという感じ。

■ 80年代の音楽にありがちな“多幸感”が見受けられない辺りが、逆に今っぽくもありますね。

80年代の音楽自体が特別に好きというわけではなくて、まあ同じもの作ってもしかたないので。あの時代が持っている特徴は何かなと考えた時に……80年 代って言っても色々あると思うんですけどやっぱりイメージってあるじゃないですか、自分の中ではデジタル時代の幕開け的な、プラスチックとか角張ったもの があってっていう。そういう、(音楽で言えば)8ビートがあって、FM音源のシンセが沢山鳴っているという、それを勝手なイメージのまま今しっくりくる音 にしたらこうなったという感じです。実際あの時代と今とでは、音楽をかける場所も使い方も違うと思いますしね。

■ 今回のアルバムには歌詞カードが入っていませんが、これは何故ですか?

まず、歌詞カードの意味がわからないです(笑)。カラオケが入っているようなシングルCDに歌詞カードが付いているのはわかるんですけど、僕はカラオケで歌われることを想定して曲を作っているわけではないし、それに歌詞カードがあると、それを見ながら音楽を聴くでしょう?あれが僕は好きじゃないんですよ。歌詞カードを見るということに使うパワーを、もっと音楽を聴くことに使って欲しいんです。音楽の聴き方はそれぞれ自由でいいのに、歌詞カードを付けるとみんな歌詞カードを見ちゃうから。それに(今のcapsuleの音楽は)歌詞カードを見ながら聴くようなものでもないと思うので、 部屋の中で聴く時も暴れ回りながら家具とか破壊する勢いで聴いて欲しいですね。僕も作っている時にテンションが上がってくると踊りながら作ります。ガッツポーズとかしながら(笑)。

■ でも、中田さんはご自分で歌詞をお書きになりますよね。

歌詞は重要ですよ。やっぱり歌も楽器で言葉にはリズムがありますから、歌詞が違えば同じメロディーとは言えないじゃないですか。なので詩の内容がどうとか じゃなくて、なんというか、奏法が違うというか……(母音が違ったらもう違いますよね?)そうなんですよ。リズム感とか、テンポ感とか、歯切れがよく聞こ えたりとか、歌詞が重要な部分を占めているので大事だと思ってます、けど、だからって歌詞カードを付ける話とはまた別ですよね(笑)。なので、作曲活動と しての作詞みたいな感じですね。

■ 『Sugarless GiRL』という曲名をアルバムタイトルにした理由はなんでしょうか?

単純に曲のタイトルが気に入ってたのでそうしました。

■ 今回のアルバムの聴き所についてや、こんな風に聴いて欲しいというようなメッセージはありますか?

特に「こう聴け」というものは無く、色々な聴き方をして欲しいですし、静かなところで聴くのもいいし、逆に凄くうるさい場所、街中の騒音すらも曲の一部と して意味を持ちうるようなものとして聴けるように作ったので、車やポータブルプレイヤーで色んなところへ持ち歩いて聴いてみても面白いんじゃないかなと思 います。

(インタビュー:フジモトコウイチ@マニュアル・オブ・エラーズ)

 

capsule中田氏のメッセージムービーはコチラ!


capsule ■ capsule □
プロデュース、アートディレクション・デザイン、スタイリングなど全てを手がけるプロデューサー "中田ヤスタカ"と、ボーカル"こしじまとしこ"によるユニット。エレクトロ/ハウス/ディスコ・パンク /ラウンジ/ロック/カットアップなど様々な要素をスタイリッシュにもキュートにも自由自在に操る 天才的なサウンドセンスと、そのファッショナブルで作品性から、特に美容/服飾関係者からの支持は 厚い。


Sugarless GiRL
   Sugarless GiRL/capsule
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2. Starry Sky
3. REALiTy
4. Sugarless GiRL
5. Catch my breath
6. Spider
7. MUZiC
8. Melting point
9. Sound of Silence
10. Secret Paradise



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