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ノーベル賞学者、黒人差別発言 米英で大きな波紋

2007年10月20日10時24分

 DNAの二重らせん構造を発見して1962年にノーベル医学生理学賞を受けた米国の分子生物学者ジェームズ・ワトソン博士(79)が英紙とのインタビューで、黒人が人種的に劣っているという趣旨の差別発言をし、大きな波紋を呼んでいる。

 同博士は14日付のサンデー・タイムズ紙で「アフリカの将来を悲観している」とし、「社会政策はすべて、彼ら(=黒人)の知性が我々の知性と同じだという前提を基本にしているが、すべての研究でそうなっているわけではない」と語った。さらに「黒人労働者と交渉しなければならない雇用主なら、そうでないことを分かっている」と続けた。

 この発言に対して、同博士が所属する米ニューヨーク州のコールド・スプリング・ハーバー研究所の理事会は18日、「遺憾だ。我々は、ワトソン博士の発言につながるような研究は一切行っていない」と厳しく批判。博士を停職とすることを決めた。

 ワトソン博士は新著の宣伝活動で英国を訪れていたが、講演のキャンセルが相次いだ。博士は18日、「ただただ謝るのみ。発言は私の本意ではない。もっと大切なことは、発言に科学的な根拠がまったくないことだ」と謝罪し、宣伝活動を中止して帰国した。

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