こんにちは、みうらじゅんです。僕が青春時代に見て大人になって見直して“これはいいぞ!”と思ったものを皆さんにもお薦めしたい、という勝手なお世話の映画祭です。

2005年5月28日(土)〜6月10日(金)
シネ・ヌーヴォにて開催!!

※全作品の上映前にみうらじゅん氏の解説が付きます!

[日活映画]

『帝銀事件 死刑囚』
1964年 監督:熊井啓/出演:信欽三、内藤武敏

いまだに謎の多い、昭和23年に起きた大量毒殺事件の犯人に仕立て上げられたテンペラ画家の平沢さん。戦後のどさくさで色々な事が闇に葬られたらしいのですが、真っ先に疑われたのが軍関係者、次に美術関係、というあたり、立場の曖昧な人間はどうやって自分を証明すべきか、考えさせられます。(109分)


『大巨獣ガッパ』
1967年 監督:野口晴康/出演:川地民夫、山本陽子

この作品の特徴は、何十回と出てくる「ガッパ怒る」という子どもの台詞が、すべての現象を言い表してしまう言葉の妙でしょう。こういった作品の再評価があまりにも遅いため、最近タランティーノが発掘して偉そうにしていますが、国民全員が「ガッパ」を見てタンティーノ封じをすべきでしょう。(84分)

『私が棄てた女』
1969年 監督:浦山桐郎 出演:河原崎長一郎、浅丘ルリ子

大人はいろんな人と付き合って最終的に結婚するものですが、相手が望んでいてもこっちは飽きた、という場合は自動的に棄てることになるわけで、自分の経験を思い出すと切なくなります。こんな切ない思いをわざわざ、金払って、しかも家族一緒に、反省しながら見ることをお勧めします。(116分)

『八月の濡れた砂』
1971年 監督:藤田敏八  出演:広瀬昌助、村野武範

学園祭で、こんな濡れ場バリバリの映画をかけてしまった先生がいて、僕の通っていた男子校は煩悩のパニックに陥りました。70年代のふぬけたフォークじゃなく、SEX、ヴァイオレンス、ロックンロール、という勢いが小気味よい。テレサ野田が大好きで、以来センター分けの女性に弱い気がします。(91分)

『バージンブルース』
1974年 監督:藤田敏八 出演:秋吉久美子、長門裕之

野坂昭如の主題歌♪ジンジンジン血がジンジンジン、は何のことかさっぱり分からなかった中学時代。サングラスがかっこよくて真似した僕は今中年です。これは中年限定の話です。若い女子大生と付き合うことで青春を取り戻せるのでは、と思っているオッサンの、切ない物語です。(99分)



[大映作品]

『宇宙人東京に現る』
1956年 監督:島耕二/出演:川崎敬三、苅田とよみ

当時沢山あった「現わる」シリーズの1本。岡本太郎画伯デザインのヒトデ型バイラ星人は、立体化する際に(要するに着ぐるみ)相当無理があったと思う。この頃の特撮映画の良さは、手作り感覚、言い換えれば、できないものはできない、という事をはっきり表現できている、という点でしょうか。(87分)


『雁の寺』
1962年 監督:川島雄三/出演:若尾文子、三島雅夫

将来的には住職を目指している僕としては外せない1本。坊主が愛人を寺に連れ込むのだが、愛人役の若尾がフェロモン過多で悩ましい!ダブルベッドを部屋に持ち込んだり、それを覗き見して悶える小坊主のDT(童貞)センスも炸裂!これを見て日本の仏教界を憂えてください。(98分)

『蛇娘と白髪魔』
1968年 監督:湯浅憲明/出演:松井八知栄、高橋まゆみ

楳図かずお原作の怪奇シリーズ。主人公の女の子がロリっぽくてグッときたのを覚えています。しかし、何より怖かったのが、タクシーの運転手に扮した楳図さん本人。これを見て、〈作ったものより作った本人の方が怖い〉という事実を発見しました。ぜひご参考までに見て下さい。(82分)

『秘録 怪猫伝』
1969年 監督:田中徳三/出演:本郷功次郎、亀井光代

怪猫ものが一大ブームとなっていた頃の1作。主演の本郷は、大映一の男前として人気だったが、悪役の戸浦六宏にも注目。目の下のエロタンクと呼ばれる袋がめちゃでかく、この人が画面に映っているだけで怖かった。猫派のあなた、ペットじゃない猫が怖いですよ。猫マニア必見!(83分)

『四谷怪談 お岩の亡霊』
1969年 監督:森一生/出演:佐藤慶、稲野和子

昔は、お寺の境内でよく怪談映画をやっていて、親が子に「悪いことをしたらこうなるよ」と教えたものでした。佐藤慶演じる伊右衛門は歴代の役の中でもピカイチの悪人です。四谷怪談ニストとして断言します。これを見せて、因果応報は確実にあるということを、子どもたちにも伝えるべきでしょう。(93分)



入替制
2:30
4:30
6:40
8:30
5/28(土) 雁の寺 私が棄てた女 宇宙人東京に現る 八月の濡れた砂
5/29(日) 帝銀事件 死刑囚 蛇娘と白髪魔 秘録 怪猫伝 バージンブルース
5/30(月) 八月の濡れた砂 バージンブルース 雁の寺 私が棄てた女
5/31(火) 私が棄てた女 4:40)八月の濡れた砂 バージンブルース 雁の寺
6/1(水) 雁の寺 帝銀事件 死刑囚 宇宙人東京に現る 蛇娘と白髪魔
6/2(木) 蛇娘と白髪魔 秘録 怪猫伝 大巨獣ガッパ 帝銀事件 死刑囚
6/3(金) 宇宙人東京に現る 大巨獣ガッパ 四谷怪談 お岩の亡霊 秘録 怪猫伝
6/4(土)・5(日) 秘録 怪猫伝
6/6(月)・7(火) 四谷怪談 お岩の亡霊
6/8(水)〜10(金) 大巨獣ガッパ

★当日料金★
一般1400円、学生1200円、会員・シニア・高校以下1000円、当日3回券3600円
★前売料金★
前売1200円、前売3回券3000円

※前売券は劇場窓口、チケットぴあ、ファミリーマート他にて好評発売中です


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