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【続き】「死刑廃止して終身刑を導入せよ」

鳩山法相の誤りを正す!亀井静香氏

軸丸 靖子(2007-10-19 21:01)
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終身刑制度の導入を

―――死刑廃止議連が作られた案(終身刑導入および死刑臨調設置法案)では、死刑に代わる終身刑の導入をうたわれていますね。

 一度に死刑廃止に持って行けないこともあって、終身刑というそれに代わるものを導入をして、それと同時に国会内に「死刑制度の存廃等に関する臨時調査会」を作って、死刑を存置するかどうかを3年間議論・検討しようと提案しています。自民党の部会を通っていないこともあって提出には到っていませんが。

終身刑導入の必要性について話す亀井氏(撮影:軸丸靖子)

 (終身刑は)いまのように10年そこそこで釈放されることがないような制度を想定しています。もちろん、少年も含みますよ。「少年」の年齢をどうするかという問題はあるけれど。やっぱり、少年が凶悪犯罪をどんどんやるから大人と同じように扱っちゃえと言うのは乱暴ですね。大人が鏡になって、子どもがおかしくなってくる。大人をちゃんとしなきゃどうしようもない。

 人間である以上、被害者が加害者を八つ裂きにしても足りないという気持ちを持つのは当然だと思う。それに耐えるのは大変なことです。しかしそのことと、制度としてその方たちに代わって国家が命を取るのは別の話。

 もっというと、民事や刑事の手続きで国が完璧に被害者を救済できるかというと、できないんですよ。国家が、人間の深層心理や心理状況まで踏まえてきちんと満足させるのは、現実に難しい。国家として、被害者感情があるからそれに則った対応をしろというわけにはなかなか行かない。

―――犯罪被害者への対応が不十分であることも指摘されています。加害者の人権を考えて死刑廃止を求めるのであれば、これは平行して進められるべきではないですか?

 それはそう。被害者救済法があるけれど、国家としてもっと強化した方がいい。被害者が悪いわけじゃない以上、国家として「被害者が被害に陥ることを防げなかった」という大きな意味での責任がありますから、私は思いきってやるべきだと思いますね。

―――ご自身が警察だった経験から、えん罪は起こりうると指摘しています。取調室では、取調官と被疑者が「ご主人さまと奴隷」のような主従関係になってしまう。その状況の中で検面調書が作られる。法廷では、その検面調書が被告人の供述より優先されると。

 いまの司法は堕落していますよ。裁判官、検事、弁護士が一体となって権力についている。例えば拘留。本来は、逃走や証拠隠滅の恐れがないケースでは任意捜査が原則ですが、いまは簡単に逮捕状を出す。必要ないのに簡単に長期拘留する。それに耐えられなくて、やってなくても「やった」という人はたくさんいますよ。拘留は拷問と同じ役割を果たしている。

 その中では(主従関係に)なっちゃうよね。全部がそうじゃないけれど、なる場合が本当に多い。どんな気の強い人でも、つかまっちゃったら「ハイハイハイ、おっしゃるとおりです」という心理になっちゃう。それは(警察時代に)何回も経験しています。被疑者にすれば、生殺与奪のすべて握られているから、ウソでも認めないと大変なことになってしまうという錯覚が起きてしまう。いわゆる拘禁性ノイローゼになってしまう。

終身刑導入について話す亀井氏。背景にあるのは趣味の油絵(撮影:軸丸靖子)

「鳩山も終身刑導入には賛成なんじゃないの」

―――光市母子殺害事件でも、弁護団はそのことを主張していますね。

 個々の事件の内容について、マスコミの報道だけをもってああだこうだとコメントをするわけには、私はいきません。制度に関しては、私の経験と合わせて話していけるけれどね。

―――死刑が確定しても何年も執行されず、100人以上溜まっているという、いまの状態もすでに違法なんですよね。

 違法云々より、死刑制度があるからいけない。溜まっているから鳩山(邦夫・法相)みたいにベルトコンベアーでばんばん処刑しちゃえみたいな大臣も出てくる。

 自民党の国会議員はほとんど死刑廃止に賛成ですよ。鳩山も、話せば終身刑の導入には賛成するんじゃないかな。私の想像ですよ。私が鳩山の発言に対して「人間じゃない」っていったもんだから彼は怒っているようだけれど、彼がああいうことを振ってきたということは、死刑に賛成じゃないんじゃないかな、多分、深層心理で。

―――法相といえど自分が死刑執行にサインするのは嫌だと?

 そういうことは嫌なんだよ。だから終身刑導入については、彼と共通点が見出せるんじゃないかという感じがする。

[かめい・しずか]衆議院議員。広島6区10期目。1960年東大経済学部卒業後、別府化学工業(現住友精化)に勤務するが、安保闘争で警察のふがいなさに腹を立て、62年警察庁入庁。成田空港事件、連合赤軍あさま山荘事件、日本赤軍テルアビブ空港事件などを指揮。77年退官後、79年衆院選初当選。自民党に属し、運輸大臣、建設大臣を務める。2005年自民党離党、現在は国民新党代表代行。

  ◇

 なぜ死刑で人を罰するのか、あるいはなぜ、死刑に反対するのか。オーマイニュースでは、これからしばらく、死刑制度の是非について、さまざまな形で取材を試みていきます。

【編集部注】タイトルを変更しました(2007/10/19 21:49)

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