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「死刑廃止して終身刑を導入せよ」

鳩山法相の誤りを正す! 亀井静香氏

軸丸 靖子(2007-10-19 21:00)
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 光市母子殺害事件差し戻し控訴審では昨日(18日)、最終弁論に立った検察側が改めて、被告の元少年への死刑を求刑した。テレビは被害者遺族の無念を扇情的に流し、元少年についた巨大弁護団に罵声を浴びせる。世論は死刑を圧倒的に支持しているようにみえる。だが、私たちは「死刑をする」ことの是非について、本当に十分に情報を持っているだろうか。

 「死刑廃止を推進する議員連盟」(死刑廃止議連)会長の亀井静香・衆議院議員は東京・四ッ谷の事務所で19日、オーマイニュースの取材に対し、個別の事件にはコメントできないとしながらも、「凶悪事件への国家としての対応と、被害者感情に応えることは混同してはいけない」として、死刑廃止を視野に、まずは終身刑を導入する必要性を説いた。

死刑制度廃止に国会議員が果たす役割について話す亀井静香議員=19日、東京・四ッ谷の事務所で(撮影:軸丸靖子)


―――袴田事件、光市母子殺害事件、鳩山法相の発言(※)など、死刑制度について考えさせられることが相次いでいます。一般には、死刑存置(容認)論者が多いといえそうで、今回の光市の裁判でも弁護団に激しい非難が寄せられています。「なぜ死刑廃止論なんかあるのか」という意見もある。ここで改めて、死刑廃止論について聞かせていただけますか?

 洋の東西を問わず、人間の歴史では、いつも凶悪な、許すべからざる犯罪が起きています。そのことに国家としてどう対応するかということです。被害者・家族の方はもちろん大変な思いをされている。報復感情、激しい怒りがあると思う。しかしそのことと、死刑制度、つまり国家による殺人を設けるかということは、別問題だと思います。

 どんな凶悪犯罪者であれ、人の命であることに変わりはない。(刑務所に入っていて)他を殺める危険性のない状態にある者の命を取るというのは、これは明らかに国家による殺人です。個々の凶悪犯罪が起きていることと、死刑が制度としてあるということは別の問題。それを感情的に混同して論じるべきではない。

 近代国家において死刑制度は許すべきではないというのは、世界的な風潮です。欧州に死刑制度のある国はないし、韓国も事実上執行していない、米国も州によって異なるが数は減っている。ただ、中国では何万人も処刑してその臓器でビジネスをしてしまっているようだけれどね。

 (死刑廃止論への非難は)それはあるでしょう。私のホームページにも来るし、選挙区(広島6区)でも「廃止連の会長をしているから支援しない」と言われる方もありますよ。

(※)鳩山法相が9月25日、安倍内閣最後の記者会見で「法相がからまなくても自動的に死刑執行が進むような方法があればと思うことがある」と発言。これに対し、亀井氏が26日、「法相の資格もなければ、人間の資格もない」と非難した。

えん罪の可能性の残ることをするべきなのか

―――死刑廃止論には、おっしゃられる人道上の理由や国際的な風潮のほか、えん罪の可能性、犯罪抑止力への疑問などが挙げられています。

 現実にえん罪事件は起きている。えん罪で死刑とされた者は、やってもいないことで手足を縛られて、吊(つる)されるんです。死刑存置論者は「そんな確率は何万分の1だ」というかもしれないけれど、やられる人にとっては100%。そういう(可能性のある)ことをしなければならないのか、ということです。

 「死刑をしなければならない」という人の根拠というのは、実は非常に薄弱なんですね。報復感情とか、犯罪抑止という議論。でも、現実に凶悪犯罪はあるでしょう? 死刑がある日本で、では殺人が減っているかというと、どんどん増えている。じゃあ(死刑を廃止した)欧州で凶悪事件が増えているというと、そんなことはない。だから、死刑による犯罪抑止論というのは通用しないんです、現実にね。

 個人の感情を国家が代わって晴らすという、敵(かたき)討ちのようなことを近代国家においてやっていいのか。そんな国家は、非常に暗い国になると思いますよ。

―――ただ、各種世論調査では、日本人では死刑存置論が圧倒的に多いようですね。

 日本だけじゃないよ。欧州では死刑を廃止しているが、世論調査をすればフランスでもどこでも65%、あるいはそれ以上に存置支持になりますよ。世論調査をすればそうなっちゃうんですよ。

―――それでも欧州で死刑が廃止されたのは?

 それは政治家が、国民の代表として、「国家として死刑をやるべきじゃない」という判断をしたわけです。世論調査の多数決で政治をやるとしたら国会議員はいらない。ただ、いまの日本には結構あるけどね。

終身刑制度の導入を

―――死刑廃止議連が作られた案(終身刑導入および死刑臨調設置法案)では、死刑に代わる終身刑の導入をうたわれていますね。

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【編集部注】タイトルを変更しました(2007/10/19 21:47)

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